「峯岸みなみ丸刈り謝罪問題」をどう見るか? AKB48を経営学で考える

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峯岸さんがファンの期待を裏切ったことについて、丸刈りになって謝罪されたことは、ある意味この「マジ」な気持ちを必死に表したとも受け取れます。今回の謝罪は、彼女がAKB48のメンバーとして育成されてきたからこそ、お詫びの気持ちを表すために何とかしたいという思いから生じたという側面もあると考えられます。

では、彼女が精いっぱいの誠意を込めて謝るという行為に、なぜ多くの人が違和感を抱くのでしょうか?

京都花街にあってAKB48にないものは…

違和感の源泉は、AKB48のビジネススキームに欠落しているところと深く関係があります。

京都花街の仕組みにあってAKB48に十分にはないものは、メンバー個々人がブランドイメージを作り出していくための、ブランドマネジメント教育の仕組みです。

京都花街の舞妓さんたちは、置屋さん(舞妓さんを育成する事業者)に住み込み、置屋のお母さん(経営者)や先輩の芸舞妓さんたちと一緒に生活をしています。舞妓さんとしてデビューする前の15~16歳から、日本舞踊や邦楽だけでなく、舞妓さんらしくあるためにどう振る舞うのか、日常生活を通じて教育を受けているのです。

現在、舞妓さんにあこがれる少女たちは、京都以外の出身で伝統的な芸事の経験がないことが多いです。彼女たちはもちろんひたむきで一生懸命ですが、それだけでは不十分で、育成のプロセスを経験していくことが必要です。

こうした教育によって、京ことばや着物での立ち居振る舞いといった行動規範はもちろんのこと、日本髪でファストフードに行くことは厳禁といった、京都の舞妓さんというイメージに沿った生活態度を、自然と身に付けていくことができるのです。

舞妓さんらしさというイメージを、若い女性たちが自ら体現できるようになるために、周囲の人々から見守られつつ、時には厳しく指導を受けています。守るべきルールを決めるだけでは不十分で、どのようなことに気をつけるのか、どうすべきなのかといったことを、生活全般を通じて教えられています。

こうした育成指導には、彼女たちが所属する置屋さんや先輩の芸舞妓さんたちはもちろんのこと、お茶屋さん(プロデューサーに例えられます)や芸事のお師匠さん、関連事業者やご近所の人々、そして顧客など、あらゆる関係者がかかわっています。

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