奇妙なアマゾン新社屋、なぜこうなった? シアトル中心街に現れた未来の温室

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シアトル市内で建設中のアマゾンの新社屋、通称「スフィア」(撮影:Ian C. Bates/The New York Times)

米ワシントン州シアトルの郊外。美しいワイナリーと馬小屋、それに農場が点在するエリアに、アマゾンがひそかにあるモノを育てている。ジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が、「小さなシード」と呼ぶものとは違う。

そう、ビジネスシードではない。アマゾンはここで本物の植物を育てている。それも食虫植物やエキゾチックな観葉植物、エクアドル産の蘭など3000種以上が、アマゾン本社から車で30分ほど走ったところにある約4000平米の温室で育てられている。

温室を管理する園芸師のガグリオード氏(撮影:Ian C. Bates/The New York Times)

映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』に出てきそうな形の蘭もある。温室を管理する園芸師のロン・ガグリオード(50)にそのミステリアスな香りを聞くと、「シナモン、アイスキャンディー、ベビーパウダー」という答えが返ってきた。

ネット通販、電子書籍、クラウドコンピューティングサービスでパイオニア的な役割を果たしてきたアマゾン。2014年に創業20年を迎えて「大人」になった今、新社屋にも発明的な要素を加えたいと考えているようだ。

スフィアの真の狙い

現在アマゾンは、シアトル市中心部に高層ビルと低層ビルの両方からなる新社屋を建設している。そのビル群の中心に位置するのが、同社がスフィア(球体)と呼ぶ3つのガラスの球体をくっつけたハイテク温室だ。シアトルっ子の度肝を抜くそのデザインは、この22年間アマゾンにはなかった華やかさがある。

「街のランドマークになるようなものにしたかった。スペースニードル(電波塔)みたいに、シアトルに初めて来た人の記憶に残るような建物だ」と、アマゾンのジョン・ショートラー・グローバル不動産施設部長は言う。「ダウンタウンの目玉になると思う」。

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