このままだと日銀会合後、日本株は急落する 今後の日本株に最も厄介なシナリオとは?

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バーナンキ氏が主張している政策だから、大丈夫、日本も採用すべきと主張する人がいるが、これほど日本の一般市民を馬鹿にした政策もないだろう。何もないところからお金を出されても、社会が大混乱するだけだし、いい迷惑だ。海外の経済学者は日本の国民に何の責任もない。むしろ、日本を使って社会実験してみたいだろう。どういう結果が出てくるか、ワクワクだ。

ヘリマネとは、円の価値を霧散させること

フリーランチはない。手品を使っても、債務は消えて無くならない。それは、誰もが知っている。知った上で、そのような政策を採用するというならば、それは日本経済のリセットボタンが押されたということだ。長年かけて築き上げた「円」に対する信用は霧散する。

要するに、ヘリコプターマネーとは円の価値を霧散させることで、日本の債務も消してしまうことだ。何時か、そのような時が来るのかもしれないが、今この段階でそのような政策を取る必然性があるのだろうか。何も「死に急ぐ」必要はないだろう。

結局、市場は「ヘリマネ」をどの程度織り込んでいるのであろうか?3つの考え方がある。

(1) まず、狭義の「ヘリマネ」、厳密な意味でのヘリマネは、現在議論が二種類ある。一つは、無利子永久債を日銀が直接引受し財政支出するという方法、もう一つはアデア・ターナー氏が主張する方法で、日銀購入の国債を無利子永久債に切り替えていくというものだ。前者の場合は、財政法5条で禁止されており、法の改正が必要だ。後者の場合、国債を無利子永久債という無価値なものとのすり替えは、その瞬間に日本国債がデフォルトしたとみなされるリスクもあるし、少なくともジャンク債へと格下げされることになり、やはり次の日銀政策決定会合で採用されるとはとても思われない。

(2) 次に、広義の「ヘリマネ」だが、政府が大規模な支出を伴う経済対策を策定し、赤字国債を大量に発行するが、それを日銀が市場で受け止めるというやり方だ。現在、マーケットが期待しているのは、この線ではないだろうか。この場合、経済対策の「真水」が重要。大規模歳出を日銀が支える「擬似ヘリマネ」という絵を市場は見たいのだ。しかし、安倍政権は消費増税先伸ばしの際に、2020年までの財政再建化目標を維持したが、どう見ても矛盾しており、この辺りをどう説明するかだろう。

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