2013年版「大学就職率ランキング」ベスト100 理系強し、薬学部がトップ10を独占

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3年ぶりに卒業生出た薬学部が高い就職率

薬学部が躍進した背景には、2006年から薬剤師国家試験の受験資格を取得するための修業年限が、4年から6年に延びたことにある。今年、6年制に移行してから初の卒業生が出たが、昨年までの2年間は新卒の薬剤師がおらず、企業は採用できなかった。そのため、不況下でも超売り手市場となり、薬学部の就職率が高くなった。この薬学部の躍進が、全体の就職率を押し上げた一因となっている。

薬学部だけでなく、理学療法士や作業療法士などを目指す医療技術系学部の就職率も高い。ランキングでは14位に文京学院大学・保健医療技術、15位に首都大学東京・健康福祉、18位に藤田保健衛生大学・医療科と甲南女子大学・看護リハビリテーションが入っている。全体を見ると、医療系学部の就職率が高くなっていることがわかる。

このほかでも工学系、農学系がランキングに出てくる。工学系では工学部の単科大であるが6位の富山県立大学、23位の福井大学・工、25位の岡山大学・環境理工など。農学系では34位の名古屋大学・農、38位の秋田県立大学・生物資源科などだ。

出口の就職状況は、入り口の入試にも大きな影響を及ぼす。受験生にとって就職を意識して大学、学部を選ぶことはもはや常識だ。高校でキャリア教育が進み、将来の職業意識がしっかりした受験生が増えている。そのため、どんな仕事をするのかわかりやすい理系の人気が高い。

さらに、不況になってから顕著なのが、国家資格を手にして就職を有利に進めたいという受験生側の考え方。それが理系の中でも医療系学部の人気に結び付く。最近の入試では理系の人気が高く文系の人気が低い“理高文低”の学部志望動向だが、就職率を見るとうなずける。理系学部の就職率平均は81.9%だが、文系は73.6%にとどまっているからだ。

この文理間格差は、不況により、企業が根幹部分を支える技術者の採用はそれほど減らさず、事務系を中心に採用を抑制しているためとみられる。さらに、理系の学生は文系より大学の出席率が高く、大学側がサポートしやすいことも、就職率アップにプラスに働いているとみられる。

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