健康経営で企業価値を高めるJAL アドバンテッジ リスク マネジメント

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日本航空でグループ社員の健康づくりを率いる健康管理部の今村厳一氏
2014年度より、経済産業省は東京証券取引所と共同で、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定、公表している。その「健康経営銘柄」に2年連続で選定されているのが日本航空(JAL)だ。「社員と家族の健康は会社の財産」と考え、社員の健康管理を担う専門部署が、健康保険組合などとも協力して社員の健康づくりに取り組んでいる。今年の9月にはグループ企業も含めた社員を対象にストレスチェックを実施する予定だ。健康先進企業とも言うべきJALの取り組みに注目が集まっている。

 最高のサービスを提供するための社員の健康推進

2011年、JALグループは、お客様に最高のサービスを提供するためには社員自身が幸福でなければならないと考え、「全社員の物心両面の幸福の追求」という企業理念を掲げた。さらに、この理念を実現するには社員の心身の健康が不可欠だとして、会社、社員、健康保険組合が一体となって健康づくりに取り組む健康推進計画「JAL Wellness 2016」を策定した。

もともと同社は、安全やサービスを担う社員一人ひとりの健康管理には極めて熱心だったが、破たん後の経営を再建するに際し、あらためて健康管理を重視する姿勢を鮮明にし、そのための体制も整備してきたのである。「まずは、JALグループ社員の健診データや医療費などの分析を行って、社員の健康状態や課題を明らかにすることから始めました」と話すのは、日本航空人財本部健康管理部統括マネジャーの今村厳一氏だ。性別、年齢、疾患別の傾向を把握し、中長期的な目標、具体的な施策を掲げるためである。その結果、「JAL Wellness 2016」では「生活習慣病対策・がん対策・メンタルヘルス対策」を3本柱に位置づけ、疾病の予防、重症化防止に向けた施策を展開してきた。「疾病に関する啓発セミナーや禁煙キャンペーンの実施、脱メタボプログラムの推進など、社員の意識改革をはじめとする情報提供、活動などを行って、PDCAを回し効果を測定しています」(今村氏)。

まずはラインケア、セルフケアが重要

JALグループではメンタルヘルス対策として、管理職やチームリーダー向けのラインケアセミナーに加え、社員が自分のストレス度を自分で把握し、対処する能力を身につけられるようセルフケアセミナーを実施してきた。さらに社員の心身の健康を支える産業保健スタッフの体制も充実させている。

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