日本アイ・ビー・エム

日本IBMが仕掛ける
「イノベート・ハブ 九州」の本気度

〜九州から全国へ、そして世界へ〜

日本アイ・ビー・エム(日本IBM)は、九州におけるオープン・イノベーションの創出を推進するプログラム「INNOVATE HUB KYUSHU(イノベート・ハブ 九州)」を開始した。
「イノベーションの創出」や「インキュベーション」などを旗印に掲げるイベントは毎日のように行われている。だが、その多くは事業化に至っていないのが現状だ。「イノベート・ハブ 九州」では、日本IBMが自社で保有する高度な技術を提供するほか、九州内外の企業とのビジネス・マッチングを支援し、ビジネスの種を実際に事業化まで導くという。まさに本気で「ハブ」となる場を提供しようとしているのだ。その取り組みや可能性について、旗揚げのひとりである日本IBMのマーケティング&コミュニケーション クラウド・マーケティング 理事 古長由里子氏に聞いた。

「INNOVATE HUB KYUSHU」の発表に熱くなる

日本IBMは、さる5月25日と26日の2日間、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪にて「IBM Watson Summit 2016」を開催した。

同サミットはその名のとおり、同社の人工知能(AI)技術を使ったコンピュータ「Watson(ワトソン)」を活用し「コグニティブ(自ら思考できる)・ビジネス」への変革を実現するための具体的なアプローチを紹介するものだ。

ビジネスにおけるAIの活用が注目されていることもあって、いずれのセッションも立ち見が出るほどの状況だったが、会場では併せて、興味深い発表が行われ、関心を集めた。26日に行われた「INNOVATE HUB KYUSHU(イノベート・ハブ 九州)」プログラムの発表である。

発表を行ったのは、日本IBM 専務執行役員の武藤和博氏、および同マーケティング&コミュニケーション クラウド・マーケティング 理事の古長由里子氏だ。役員、理事が自らプレゼンテーションすること、さらには、ポール与那嶺社長も登壇する東京で開かれた同社のビッグイベントで「九州」をキーワードにするプログラムが発表されたことは注目に値する。

古長氏はその背景について、つぎのように説明する。「『イノベート・ハブ 九州』は、オープン・イノベーション(社外の技術や知見を活用し革新的な技術やサービスを生み出すこと)の創出を目指しています。そのためには、さまざまな企業との連携が不可欠です。また、クラウド、コグニティブなど最先端の技術の利用も鍵になると考えられます」

これらの分野に関心のある産学官の数多くのプレーヤーが集まる場で発表されたことは、まさに同社の意気込みを宣言したものだと言えるだろう。

イベントの開催にとどまらず本気で「イノベーションの創造」を目指す

政府は経済政策(成長戦略)の一環として、産業競争力強化法などの取り組みや日本再興戦略の策定など、イノベーションの創出に向けた取り組みに力を入れていく計画だ。地方創生の深化を目指す、ローカル・アベノミクスの実現も重要項目となっている。

「イノベート・ハブ 九州」もまた、「世界を動かすイノベーションを九州から」をキャッチフレーズに掲げている。

「なぜ九州なのか」という問いに、古長氏は次のように答える。

古長 由里子
日本アイ・ビー・エム マーケティング & コミュニケーション クラウド・マーケティング 理事
多くの参加者が集まり、九州から世界へイノベーションを興す、と熱くその思いを語る

「九州は観光資源や、食、エンターテインメント、ファッションなど魅力的なコンテンツ、産業が豊富です。さらにアジアにも近く訪日外国人も増加しています。また、当社は数十年以上前から、九州の企業や自治体、大学などと連携した活動を続けています。『九州発』の地域イノベーションを生み出したいという期待も大きいことから、今回のプログラムを支援することになりました」

「イノベート・ハブ 九州」では、ワークショップやハッカソン(エンジニアが集まりソフトウエアなどを作成するイベント)を通じてイノベーションを実現するサービスを発掘し、その上で事業化へと導くという。

「イノベーションの創出」や「インキュベーション」などを旗印に掲げるイベントは全国で毎日のように行われている。「ただし、会場で表彰されるような優れたアイデアであっても、なかなか事業化まで至らないのが現状です」と、古長氏は理想と現実の課題を指摘する。

たとえば企業内で新たな事業を立ち上げようとしても、競合・取引先との関係や投資対効果を問われ迅速に進まないことがある。開発ツールなどの社内リソースが利用できないケースもある。検証データの収集なども容易ではないだろう。「イノベート・ハブ 九州」の意義深い点は、これらの課題を、新たなエコシステムを構築し解決する環境を本気で整えようとしている点だ。

テーマに応じたデータ・ツールを提供
事業化へ向けたきめ細かなサポートも

「『イノベート・ハブ 九州』では、ビジネスの『発掘』だけでなく、『構築』、『発展』のプロセスまでを視野に、プログラム全体を通じてイノベーションを実現する仕組みを用意しています」と古長氏は紹介する。

具体的には、高いポテンシャルを持つ技術、アイデア、マネタイズ(無料サービスなどの収益化)などを発掘するとともに、IBMやパートナー企業の支援のもと、事業化の構築、さらにはビジネス・マッチングやエコシステム(企業や人材の交流によるビジネス全体の収益構造)の形成、海外展開などをはじめとする事業拡大まで支援するという。

IBMには、「IBM BlueHub」と呼ばれる、新たな事業の創造を目指すアントレプレナーを支援するためのインキュベーション・プログラムがある。これまで複数のスタートアップ企業が同プログラムから誕生しているが、事業化の「構築」に向けたアドバイザーによるきめ細かなメンタリング(指導・育成)のノウハウやネットワークも、当然「イノベート・ハブ 九州」で生かされる。

さらに注目すべきは、サービスの「発展」フェーズが充実していることだ。前述したAI技術「IBM Watson」のほか、クラウド上の開発環境「IBM Bluemix」などIBMの高度なツールや開発環境が無償または安価で利用できるほか、プログラムに協賛する企業が提供するデータやツールなども利用できるという。

現在、「イノベート・ハブ 九州」に協賛している企業は、ゼンリン、ソフトバンク、西日本新聞社、フォレストグループ、ふくおかフィナンシャルグループ(福岡銀行ほか)、安川電機などだが、「単に協賛金などをいただくだけでなく、データやツールの提供、アイデアソンやハッカソンの審査、メンタリングなどにも積極的に参加していただきます」と、古長氏は話す。

すでに、これらの協賛企業の担当者が集まるキックオフミーティングも開かれている。ミーティングの席上では、実際に事業化するための課題解決の方法や「イノベート・ハブ 九州」ならではの仕掛けなどのアイデアも活発に出されたというから、協賛企業の熱意のほどがわかる。

「プログラムはまだ始まったばかりですが、取り組みを継続的に進め、『イノベート・ハブ 九州』がイノベーション創出を目指す人たちの登竜門になるようにしたいと考えています」と古長氏は思いを語る。

米国のシリコンバレーのように、九州から全国、世界を目指す人たち、そしてパートナー企業や機関、エンジェルなどの支援者が集まる「ハブ」がここできれば面白い。前例の少ない画期的なプロジェクトがいよいよスタートする。今から大いに楽しみだ。

登録締切 8月5日(金)
イノベート・ハック 九州 エントリー募集中
「イノベート・ハブ 九州」を利用してビジネスアイデアを形に考える人(チーム)は、8月6日より行われる「イノベート・ハック 九州」にエントリーする必要がある。参加対象はチーム単位で法人、個人は問わない。また、九州在住者に限らず、海外からの参加も可能だ。ビジネスパーソンだけでなく、定年退職した人、学生などさまざまな人が参加できる。
◎募集テーマ ①まち・くらし、②観光・エンタメ・スポーツ、③ヘルスケア、④ロボティクス
ハッカソンは8月に、「デモデイ」と呼ばれる決勝戦は9月にいずれも福岡市で開かれるが、事前説明会やアイデアソンは東京のサテライト会場やリモートで参加も可能だ。アイデアにとどまらず、それをもとに実際に新たなイノベーションを起こしたいと思う人にとっては絶好のチャンスだろう。ぜひこの機会を利用してほしい。

 

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