トヨタとベンツが研究に没頭するAIの可能性

自動運転は社会変革の入り口に過ぎない

世界の最先端を走る自動車メーカー2社が見据えるのは?(撮影:今井 康一、鈴木 紳平)

もしも人生をやり直すことができるなら、F1レーサーよりもAI(人工知能)の研究者――そんなふうに思えるほど、AIの領域がアツい。

AIはグーグルなどのIT企業のイメージが強いが、実際には各国の国防軍事から経済予測、犯罪予防までその応用は多岐にわたる。自動車業界も例外ではない。各メーカーはこぞってAIに投資し、世界中で優秀な研究者を巡る人材争奪戦を繰り広げている。

投資額は5年間で10億ドル

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トヨタ自動車は今年1月にAI研究のための新会社TRI(トヨタ・リサーチ・インスティテュート)を設立した。本拠地はスタンフォード大学のあるカリフォルニア州パロ・アルトと、MIT(マサチューセッツ工科大学)があるマサチューセッツ州ケンブリッジのそばに置き、ゆくゆくはR&Dの拠点にもネットワークが広げられる。投資額は5年間で10億ドル(約1200億円)だ。

TRIの代表はDARPA(ダーパ=米国国防高等研究計画局)のメンバーだったギル・プラット氏。自動運転車を競い合うレースを仕掛けた張本人だ。主要メンバーにはDARPA出身者のほか、カーネギーメロン大学やMITからも優秀な人材が引き抜かれた。全体では約100名が在籍する。その内の70名が新規雇用、30名がトヨタからの出向だという。

先日、東京のトヨタ本社で来日したプラット氏にインタビューする機会を得た。そこでプラット氏が何度も口にした言葉のひとつが「ロボット」だった。

トヨタ東京本社でインタビューを受けるギル・プラット氏

「自動車業界において、今ソフトウエアが大きく貢献しています。車内の娯楽システム、ナビゲーションシステム、安全システム、それらにソフトウエアは欠かせないものであり、将来的にはさらに高度化していくことでしょう。そのときクルマはロボットだと考えることもできます。

本質的には家の中や戸外で働くロボットと変わりません。クルマは『たまたま道を走る機能を備えているロボット』というわけです。ロボットは人間のように考えることはできないかもしれませんが、その場の状況に合わせてどのように動き、どう反応すればよいかを判断しなければなりません。『認知』『判断』『行動』という3要素はロボットにとって必須なのです」(プラット氏)

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