日本株が意外にもジワリ上昇しそうな理由 円高局面なのに、なぜそんなことが言えるのか

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7月の日本株は、花火のように華々しく、といくのだろうか。そう簡単ではないが、上昇の可能性があるという。その根拠とは?(写真:花火/PIXTA)

英国による欧州連合(EU)離脱が決定した6月24日、世界の金融市場は大揺れとなり「リーマンショック以来の~」というフレーズがメディアを飛び交った。実際、日経平均株価の下落幅は2000年3月以来の16年ぶりのきつい下落となった。

欧米の株式市場は政治的なリスクを抱えたまま

ただ、6月27日以降は5営業日続伸で24日の下落幅の3分の2まで戻している。一方、英国のFTSE100は、金融緩和期待で年初来高値を更新しているなど、実は欧米株は堅調だ。英国から遠いアジアの日本株が、当事国の英国株に負けている現実はなんだか非常に腹立たしい。だが、今後の世界の政治的な流れを考慮すると、投資資金は、再び日本株に向かう可能性があると筆者は考える。

なぜそう言えるのだろうか。まずは当事国である欧州市場の今後の状況を考えてみよう。英国とEUとの離脱に向けた交渉は、2年から7年ほどかかるとの見方もあり政治・経済の流れが停滞するリスクを抱えている。次期首相を選ぶ流れを見るだけでも英国が抱えた政治リスクはとてつもなく大きいと考える。

確かに英国株をはじめ欧州株は強い動きを示している。だが、先行きの不透明感を表す欧州VSTOXX指数(ボラティリティ)は足元こそ低下しているが、依然として25.0で推移している。ボラティリティは各国によって警戒すべき水準は違うが、筆者は欧州のボラティリティは25以上を超えると、不透明感が市場を支配し始めると考えている。つまり、リスク資産への投資を手控える可能性は高いままということだ。

一方、米国市場の今後を予想してみよう。米国株は現在安定している。NYダウは一時節目の「200日移動平均線」を割り込む場面が見られたが、その後、「怒涛の上昇」で盛り返し『往って来い』となっている。また、米国のVIX指数は現在14.77だ。恐怖指数とも呼ばれるこの数字は20が警戒すべき水準と見られていることから、「米国株の先行きは安泰・・」とも見えるが、あくまでもVIX指数は1カ月先の変動率を数値化したものに過ぎない。

4カ月後の11月、米国は大統領選挙を迎える。候補者として確実な共和党トランプ氏、民主党クリントン氏のどちらかが新しい大統領となる公算が大きいが、どちらも幅広い人気という観点ではいまひとつだ。人気で政策が決まるわけではないが、2017年以降、米国の政策が転換する可能性を考慮すると、大統領選挙が近づけば近づくほど先行きの不透明感は高まりそうだ。現状のVIX指数は、この最大の不透明要因をまだ織り込んでいない。

つまり、欧米の政治・経済は先行き不透明だ。

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