2013年 伸びる会社・沈む会社 『会社四季報』2013年新春号から探る
企業業績は今後、どうなりそうか。12月に発売した『会社四季報』2013年新春号のデータを基に予想してみたい。まず、業種ごとに見ていこう。上図に、上場企業全体の約7割を占める3月期決算企業の来14年3月期の経常利益伸び率予想を示した。
1位の鉄鋼は、2期続いた厳冬期がようやく終わり、来期は大幅に反発しそうだ。鉄鋼の経常利益は今13年3月期57%減益の見通しだが、減益率が高かった分、来期の変化が大きくなった。12年10月に発足した新日鉄住金の統合効果も来期から発現しそうだ。
2位の電気機器は、前期60%減益だったが、今期は一転して41%増益となり、来期も大幅増益を維持する見通し。電気機器には、パナソニック、シャープなど巨額赤字に苦しむ企業が数社あるので、今来期とも増益予想というのは意外感がある。しかし、東芝、日本電産、NEC、オムロン、TDKなどが好業績を維持し、業界全体の回復を牽引している。
3位のその他製品も来期は大幅増益になる。この業界では、任天堂の業績変化率が高い。前期は608億円の経常赤字だったが、今期は120億円の経常黒字、そして、来期の経常利益は1350億円に膨らむ。12年12月に発売した新型ゲーム機「Wii U」が業績を底上げする。
次に業績ランキングで個別企業の動向を見てみたい。まず、『会社四季報』が今12年度業績予想を最も引き上げたのが、課金ユーザー数が増えるオンラインゲームのガンホー・オンライン・エンターテイメント(左上表)。ステンレス原料の大平洋金属や、自動車のマツダなども前号予想から大きく上方修正されている。
一方、今年度経常利益予想を引き下げた「下方修正額ランキング」。テレビ事業が急悪化しているパナソニックや、原料用石炭の価格低下などが下押し圧力となる三菱商事、中国での販売不振が響く日産自動車、ホンダなどが大幅な減額修正をされている。
来13年度に好調が期待される「経常増益率ランキング」では、半導体向けシリコンウエハ大手のSUMCOが、シリコンウエハの回復と合理化効果を見込んで大幅増益となりそう。またバッテリー式フォークリフトのニチユは、13年4月、三菱重工業からフォークリフト事業を継承することで業容が膨らむ。
日本企業を取り巻く環境はまだ厳しいが、逆境に打ち勝ち成長を維持できるのか。13年は企業にとって真価を問われる年になる。
(週刊東洋経済 2012年12月29日-1月5日 新春合併特大号)
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