国内本業ジリ貧の出光興産、新分野に躍起 豪社買収、メガソーラー参入など攻勢

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石油精製元売り大手の出光興産が、本業の停滞に危機感を強めている。

出光は、豪州の独立系燃料油販売会社であるフリーダムエナジーホールディングス社の発行済み株式100%を12月14日付で取得した。日本の石油製品の内需が漸減傾向をたどる中、将来の成長戦略としてアジア・環太平洋を中心とした海外事業の拡大を推進しており、今回の買収もその一環となる。

フリーダム社は豪州の燃料油販売会社として同国内5位で、クイーンズランド州ブリスベンに本社を置く非上場の独立系オーナー会社だ。2001年設立で従業員は約350名。ブリスベン市の輸入ターミナルを活用し、販売量は年間約65万キロリットル(軽油70%、ガソリン30%)で、資源開発や農業向け燃料油に強い。豪州東海岸でガソリンスタンドも約40カ所運営している。2012年6月期の売上高は8億4300万豪ドル(約700億円)。利益は非開示だが、純利益は年間数億円規模で、買収額は数十億円と見られる。

出光の連結売上高は今期で約4兆2800億円、経常利益で735億円が予想され、フリーダム社の来期の貢献は全体から見ると軽微にとどまりそうだ。

成長戦略としての位置づけが重要

むしろ今回の買収は、将来的な成否はともあれ、出光の成長戦略の一環としての位置づけが重要だ。同社は本業である石油製品の内需が長期的な減少トレンドをたどる中で、有機EL材料やバイオエタノールの製造販売やメガソーラー発電などの新事業、そして海外における新市場開拓を成長戦略に据え、手を打ってきている。

海外市場の開拓においては、1990年代から北海やベトナムでの石油開発や豪州での石炭開発を行っており、一定の収益を確保している。

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