何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
あなたが提供している3つの価値
こんにちは。ご自分で何ができるか?ご自分の市場価値をお知りになりたいということですが、結論から申し上げますと広い意味での「営業力」に依拠することが大切です。
営業力があれば、どんな金融商品でも個人・法人問わずに売れるでしょうし、もっと深く顧客本位の仕事をされたいのであれば、独立時などキャリア上のリスクヘッジも含めて金融商品売買以外の付加価値を提供できるスキルを身に付けるべきです。
少し整理してみます。質問者の方は大手証券にお勤めとのことですが、顧客に提供している価値は以下の3つが考えられます。
1)会社のカンバン(=カンバンに対する顧客からの信頼)
2)大手証券の商品ラインナップの豊富さ(=多くの商品の中からその顧客にとってベストなものを選択してもらえるという顧客の期待)
3)FAの説明のわかり易さや親しみやすさ(という営業力)
FAは顧客に商品をたくさん売買すればするほど、手数料収入が増えますので儲かります。そして儲かると会社も喜びます。10年のキャリアを持つ質問者の方がすでにお気づきにように、資産形成アドバイスにおいてお客様の利益とFAのインセンティブは本質的に矛盾が生じることがあります。
数億円の金融資産を持っているわけではなく、数百万円くらいからのお金で資産運用をしたい個人顧客の敵は取引コストです。合理的な投資手法として考えられるのは、その人のリスク許容度に応じて、個別株ではなくインデックス投信やETFを最も手数料の低い証券会社で買って寝かせておくことです。ポートフォリオを頻繁に組み替えて、売買することは取引コスト(手数料)を増加させますし、市場に勝っても取引コストで負けては運用の意味がありません。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら