EV不発、日産がハイブリッド大量投下に転換 16年までに15モデルを発売

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もともとHVに関しては、導入しても排気量2リットル以上の中型車を超えるジャンルというのが、日産の基本スタンスだった。HVは、システムがかさむ分、もともと低燃費・低価格の小型車に適用した場合には、燃費向上の効果が薄れ、逆にコストアップが目立ってくるからだ。

日産は、コンパクトカー以下は、排気量を小型化して燃費を向上しつつ過給器で出力を補う「ダウンサイジング過給」エンジンが最適と見なしていた。秋に投入した新型「ノート」はこのエンジンを搭載し、高い燃費性能を実現、実際、コストパフォーマンスではコンパクトHVに引けを取らない。

コンパクトカーこそがハイブリッドに合う

ただ、この方針も軌道修正し、コンパクトカーへのHV導入も進める見通しだ。トヨタの「アクア」が大ヒットしたように、燃費のよさが大きなウリになるのはむしろコンパクトカーのジャンル。現状、低燃費エンジンコンパクトカーとHVコンパクトカーでは、実用燃費やトータルコストでは大差ないものの、カタログ燃費では大きな隔たりがある。

コンパクトカーや小型車でHVラインナップを欠いた場合、燃費競争でイメージ的にも不利になる。すでに発表済みの中大型HVに加え、コンパクトHVを速やかに投入できるかがHV追い上げのポイントになりそうだ。

丸山 尚文 東洋経済 記者

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まるやま たかふみ / Takafumi Maruyama

個人向け株式投資雑誌『会社四季報プロ500』編集長。『週刊東洋経済』編集部、「東洋経済オンライン」編集長、通信、自動車業界担当などを経て現職

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