子に継がせるなら、経営者として英才教育せよ 星野佳路 星野リゾート社長

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同族会社の良い面と悪い面

今の時代、「跡取り」は、跡を取って守っていこうという姿勢ではダメ。新興勢力に対し、攻めの姿勢で実家の会社を経営していく気概が必要だ。合わせて、子どもに跡を継がせたい親の側にも覚悟が必要になる。経営者として事業を継いだ子どもにとって、会社の現状は、変えなければならない問題点が山積みの状態に見えるはずだ。ただ、前方には、変革を良しとしない「既得権者」として親が立ちはだかる例も多い。

特に、事業の変革に大きな「痛み」を伴う同族会社の場合、既得権を持ち、株主でもある経営者一族の猛反発が予想される。

実際、事業承継が問題になるのは、同族会社に多い。私自身、実家の後継の際は、同族会社であるがゆえの問題に突き当たり苦労した。ゆえに相談もよく受けるが、同族会社には良い面と悪い面があるように思う。

まず良い面は、長期的な視点で経営を進めている点だ。来年、再来年の売り上げではなく、子どもの世代でどうありたいかを考える。

悪い面は公私混同する点だ。経営者一族が実力に見合わないポジションにいて、経営に参画している。従業員を評価する仕組みがなく、一族が特権階級化している会社には優秀な人材が集まらない。これが、同族経営で陥りがちな最大の問題点だ。

強いリーダーシップで変革を推し進める跡継ぎがいない場合には、経営を離れ、日本のオフィスビル所有者のように、運営・管理はプロの力を借りることが必要な時代になってきている。

(『週刊東洋経済』2010/4/17号:後悔しない!相続・事業承継&葬儀・墓)

(撮影:尾形文繁)

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