韓国・サムスングループ 前途多難な脱・個人商店経営

韓国・サムスングループ前途多難な脱・個人商店経営

韓国を代表する企業、サムスン・グループの李健煕(イ・ゴニ)会長が4月22日、辞任を発表した。昨年10月に元サムスン社員による告発で明るみに出た不正資金疑惑で在宅起訴されたことを受けての処分。同グループは同時に、経営刷新案を発表、韓国社会に対し責任を取る形を示した。

22日の記者会見には、普段はマスコミの場に出ない李会長自ら姿を現した。「サムスン会長職を辞任することに決めた。心より謝罪し、今回の事件による法的・道義的責任を取る」と述べた。これにより1987年、サムスンの創業者である父・李秉(イ・ビョンチョル)初代会長の後継者として経営の全面に出て以来、20年間にわたって会長職を務め、世界企業にまで押し上げた立役者が、経営の一戦から姿を消すことになる。

今回、李会長が辞任するきっかけとなった不正資金疑惑とは、李会長が長男でサムスン電子専務の李在鎔(イ・ジェヨン)に経営権を継承するため、事実上の持株会社であるグループ内のエバーランド社(テーマパーク事業)の転換社債を不当に低い価格で発行させるなどして、会社側に合計2500億ウォン(約250億円)の損害を与えた、というもの。さらに、李会長の借名口座に秘匿していた4兆5000億ウォンの運用益にかかる税金1128億ウォンを脱税していた行為も明るみに出た。

元社員の告発を受け、大統領直属となる特別検事チームが構成され、これまで操作を続けていたが、以上の疑惑について4月18日、容疑が固まったとして在宅起訴されたもの。この操作により、サムスングループは定期人事も先送りするなど、活発な事業活動の自粛に追い込まれていた。

李会長の辞任とともに発表された経営刷新案では、【1】長男の李専務の専務職を解き、相対的に弱い海外事業所へ派遣し現場を経験させる、【2】グループの戦略企画室の解体、【3】同じ疑惑をかけられた李鶴洙(イ・ハクス)サムスン電子副会長など専門経営者の辞任、【4】銀行業への不進出を行うとし、今年6月までに実行に移す、という内容。

特に【2】の、サムスンの経営構造上、司令塔の役割を果たしてきた戦略企画室の解体が注目される。これは1997年の金融危機により韓国経済が困難な状況に陥った時に発足した構造調整本部がその前身だが、優秀な専門経営者を中心にグループ内での戦略・調整役となってきた部署で、この解体が今後サムスン・グループの経営にどのような影響を与えるか非常に注目される。

というのも、サムスンは李会長、戦略企画室、優秀な専門経営者の「トロイカ」体制で世界企業へとのし上がった経緯がある。先見性のある李会長の見識と慧眼に加え、彼が認める優秀な専門経営者による各社経営、さらにグループ全体を見つめる戦略企画室の舵取りが調和していたからこそ、今日のサムスンが生まれたと言っても過言ではない。

今回の事態でこの経営体制が崩れ、今後の経営に大きな影響を与えると指摘する声も少なくはない。

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