ガリバーが到達した「毎週行きたい」中古車店 そこは「おでかけが始まる場所」になった

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一風変わった中古車店の正体は?

千葉県木更津市にあるイオンモールは、休日になると家族連れで大賑わい。ゲームを選ぶ子どもたち、服を買うお母さん、本屋で待つお父さん。よく見かける光景だが、その中に、ショッピングモールではあまり見かけない不思議な店舗がある。「HUNT(ハント)」という名称の中古車販売店だ。

家庭で車を買い替える機会は、せいぜい7年に一度。それなのに、HUNTには週末になると多くの客、それも家族連れが店内に入っていく様子が見える。

これを仕掛けたのは中古車買い取り・販売大手のガリバーインターナショナルだ。しかしながらガリバーといえば黄色を基調とした看板が目立つあのお店をイメージする人が多いだろう。そのネットワークは全国に約470店。いかにも「中古車屋」を展開してきたガリバーが、HUNTのようなコンセプトの店舗を打ち出したことを意外に思うかもしれない。

正確にいえばHUNTを構想したのはガリバー自身の力によるものだけではない。そこには生活者、消費者自身の発想が採り入れられている。一体どのように生まれたのか。

「お客さんが入りにくい」中古車販売の店舗

筆者は「生活者の本音」と「企業の独自性」を重ねてコンセプトメイキングを行うコンサルティングファームを経営している。そんな筆者のもとにガリバー「家族連れが多く来店する、ショッピングモールに新しいお店を出したい」と相談が持ち込まれた。

普通の中古車店とは様相が違う

中古車販売店というと、道路沿いに中古車がたくさん並んでいる店舗を思い浮かべる人が多いだろう。これまではロードサイドに中古車を展示して来客を待つスタンスが一般的だった中古車業界だが、若者の自動車離れの影響もあって、販売は苦戦。一度入ると営業マンからしつこく勧誘されそうな印象もある。そこで、ガリバーは新規顧客との新たな接点を求めて、家族連れが多く来店するショッピングモールに店舗を出そうと考えた。

そうはいっても軽く買い物にいくショッピングモールで中古車が売れるイメージが湧かない。もちろん、ガリバーの担当者も、そのことは十分わかっていた。従来とは違う店舗作りをする必要があったのだ。

そこで採ったのが利用者に直接聞いてみることだった。筆者はインターネットを使って誰もが気軽に企業の企画会議に参加し、アイデアを出せる「Blabo!」上のほか、ショッピングモールに訪れた人にも声をかけて、アイデアを話し合った。

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