「ノマド=カフェで仕事」ではありません
遊びと仕事の境目がなくなれば、どちらも手にできる

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情報化社会では、「できる限り多くのオプションを知っておく」という意識が必要です。それが自分らしく幸せに生きるための選択肢を増やすことにつながります。だからこそ、ノマドという言葉のイメージに惑わされず、本質を知ることが大切です。ノマドという生き方を選ぶ、選ばないはその先の話ではないでしょうか。

ノマドブームの背景にあるもの 

なぜ、ブームといわれるほどにノマドが注目されているのかといえば、外的要因と内的要因の2つの側面があると私は分析しています。 

外的要因とは、労働環境の変化です。まずはインターネットなどさまざまなテクノロジーの発達で場所の制約がなくなり、どこででも仕事ができるようになりました。定時に出社して会社で働くという従来の働き方にとらわれなくなったということです。

東日本大震災で自宅待機を余儀なくされた際、「パソコンとスマートフォンがあれば、会社に行かなくても仕事はできる」と実感した人も多いことでしょう。 

これはまた、今までホワイトカラーが会社でやっていたルーチン業務は、「どこででもできる」という性質ゆえに、より廉価な労働力を提供する海外へアウトソースされることを意味します。

端的に言うと、「仕事がなくなってしまう人」が増加しつつあるのです。こうした状況であれば、新たな働き方を模索する人、いや、模索せざるをえない人が増えるのは自然なこととすらいえます。

さらに終身雇用制度の崩壊で、1つの会社が社員の面倒を一生見るなどとうてい不可能であることも明らかになりました。過去20年の就職ランキングで上位につけていた会社の多くが疲弊しています。「あの会社にさえ入れば一生安泰だ」という価値観がまったく間違っていたことが、今では誰にでもわかります。 

20年前は右肩上がりの経済が期待されていた「連続の社会」であり、変化もオルタナティブな道の模索も必要ありませんでした。既存の枠組みに入り、そのなかでキャリアを構築し、一生安泰でやっていけるルートが確保されていたのです。

ところが今は、先が見えない「非連続の社会」となり、新しいやり方でなければ立ち行かなくなっています。 

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