師匠・押井守とは違うアニメを創る 神山健治が描く「アニメ界の未来」(上)

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過去に何度かアニメ化され、現代でも熱狂的なファンを持つ石ノ森章太郎原作による未完の超大作「サイボーグ009」。日本SFマンガの金字塔ともいえる作品を、全く新たな物語として生まれ変わらせたのが映画『009 RE:CYBORG』。10月27日より全国で公開中だ。
物語の舞台は2013年=現代。世界の大都市では超高層ビルを狙った同時多発爆破事件が発生していた。かつて、世界が危機に陥るたびに、人々を救ってきた9人のサイボーグ戦士たちは、ヒーロー不在の時代に「誰がために」戦うのか――。ゼロゼロナンバーサイボーグたちの新たな戦いが描かれる。
『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズ、『東のエデン』の神山健治監督が自ら脚本・監督を手掛けた本作。日本が誇る2Dセルアニメーションの見た目でありながら、3DCGアニメーションで制作されていることも話題となっている。
そこで今回は、神山監督が石ノ森作品を手掛けることになった経緯、プレッシャー、そして本作のテーマとなる「正義」について聞いた。

 

――石ノ森先生の「サイボーグ009」といえば、熱狂的なファンが多い作品です。それに対するプレッシャーは?

実はそういうところであまりプレッシャーを感じていない。むしろそういう作品をやれる喜びのほうが勝ります。僕は常々、(師匠の)押井守監督のような作品を作りたいという思いでこの業界に入っているからそう考えるのかもしれませんが、逆に自分の色を出したい人は、プレッシャーを強く感じるのかもしれませんね。

――もともと「サイボーグ009」には押井守監督のバージョンがあって、そこから神山監督にバトンタッチとなったと伺ったのですが、その経緯は?

今から2年前、CEATEC JAPANでの立体視3Dテレビのプロモーション向けに押井監督が作ったPVがありました。そしてそれを元に映画本編を作ろうという話になったときに、押井監督の作家主義的内容に、もう少しエンターテインメントの部分を加味してほしいというリクエストが出た。それで僕が脚本として参加することになったんです。ただ、物語作りにおいては、押井さんには押井さんなりの考えがあった。そこには僕との意見の相違があったのは事実です。

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