天才かもしれない「ダメ社員」を覚醒させる術 「隠れアスペルガー」を知っていますか

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実は私自身強いアスペルガーでした。なかなか社会になじめず、ニートやホームレスも経験したことがあります。その後、一念発起し、あらゆる文献を読み漁って効果のありそうな手法を片っ端から試していきました。ローカーボ食事法、分子整合栄養医学、行動応用分析、認知行動療法、コミュニケーションロールプレイング、運動療法、自律訓練法など、あらゆる手法を尽くし、7年かけて社会復帰。その後は、自身が確立した発達障害改善法を伝え、発達障害の専門カウンセラーとして活動しています。

グレーゾーンアスペルガーとは、医療機関で診断がおりるほどの強い症状をもたない軽度のアスペルガーのことです。診断のつくアスペルガーに比べると症状はまばらで軽く、人によってまったく逆の傾向を見せることもあり、発見と対応を困難なものにしています。空気が読めないグレーゾーンアスペルガーもいれば、逆に空気を読みすぎて疲れきってしまうグレーゾーンアスペルガーもいます。

グレーゾーンアスペルガーは一人ひとりの症状を見極め、丁寧に対応することが求められます。非常にデリケートな存在ではありますが、その実、適切な環境を与えるとほかにない優秀な人材へと変貌します。

グレーゾーンアスペルガーであるOさんの面白い経歴

たとえば、現在、2つの会社を経営する40歳のOさんは面白い経歴の持ち主です。以前はカーディーラーにセールスマンとして勤務していましたが、新入社員のころは典型的なダメ社員。協調性がなく、簡単な事務作業にもミスばかり。連日上司に呼び出されては叱責されていました。

これに対してOさんは逆ギレし、深夜まで酒を飲んでは翌朝遅刻してくる始末。揚げ句の果てには、上司がいかに無能かをまとめたプレゼン資料を本社に送りつけ、役員まで巻き込んだ大騒動を起こします。結局Oさんはクビになってしまうが、その上司も閑職に回され、出世コースから大きく道を外す結果となりました。

その後、別のカーディーラーに再就職したOさんは、まったく違う実績を残します。Oさんの特徴をすぐに見抜いた新しい上司は、「君の自由にやっていいよ」とOさんを大きく受け入れます。人が苦手で顧客訪問をしないOさんを周囲のスタッフは非難しましたが、この上司はOさんが手書きの手紙で顧客と信頼関係を築きつつあることを理解し、根気よく見守りました。

するとOさんは日に日に結果を出していった。上司はOさんに欠落している能力について、周囲のスタッフに理解とフォローを求め、Oさんが力を発揮できる環境を整えた。

その結果、Oさんはたった1年で事業所のトップセールスマンとなり、自身のセールス手法をまとめた資料が社長に認められ、会社のスタンダードとして採り入れられる。さらには自動車メーカー主催のプレゼン大会において全国1位を獲得。所属する店舗は瞬く間にメーカーや全国の販売店から注目されるベンチマーク店に。この上司は、のちに取締役に出世します。

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