慢性的な電車の遅延問題は、解消できるのか 利用者が滞留する駅ホームの構造にも課題
小委員会の「遅延対策ワーキング・グループ」の最終取りまとめによると、2013年11月の平日20日間、朝ラッシュ時に遅延証明書が発行された路線は、調査の対象となった51路線のうち約3割となる16路線。さらに、主要19路線を対象にした調査では、「3分以上30分以下の遅れ」が20日間の調査期間のうち平均13日で発生していたという。
このような慢性的な遅れの原因は何なのだろうか。先の調査によると、3分以上30分以下の遅れのうち原因の94%は鉄道側ではなく、その他の理由による「部外要因」だ。中でも理由として目立つのは、混雑そのものやそれに伴うドア挟みが計47%、急病人が12%、落とし物などによる線路支障が6%で、実に遅延の7割が利用者に起因しているという。
慢性的な遅れは「構造的問題」
最終取りまとめでは、こういった短時間の慢性的な遅れについて「鉄道の適正輸送能力や駅の容量を超えて、過度に利用者が集中することによる構造的問題」であるとしている。駅のキャパシティが利用規模の増加に追いついていない、ホームが混雑しやすい構造である、といった点が遅延を招いているわけだ。
ホームの混雑緩和による遅延解消への取り組みはすでに行われている。たとえば全国でも混雑率がトップクラスの東京メトロ東西線では、南砂町駅でホームの増設工事、木場駅でホームの拡幅を伴う改良工事などが進められている。乗り降りをスムーズにすることで駅での遅れを防ぐ目的だ。
今後の遅延対策の基本的な方向性として掲げられているのは、一つは国による遅延の「見える化」だ。遅延証明書などを用いて発生状況を毎年公表することや、鉄道会社に対しても運行実績データの詳細な分析や他の鉄道会社との比較を行うことで、効果的な遅延対策の実施を求めている。
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