ホンダ「ジェイド」がさっぱり売れない理由 このミニバンは肝心なところがズレている

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ただ、なぜこのような販売ラグが生じてしまったのか?恐らく開発タイミングの問題だと思うが、ステップワゴン登場とジェイドRSの登場タイミングの絶妙さから、「ホンダ車初採用のVTECターボと言う称号を与えたかったのか」と勘繰ってしまう。個人的にはステップワゴンはむしろハイブリッドのほうがクルマのキャラクターやユーザーニーズがあるような気がする。ちなみにある販社のスタッフの話を聞くと、「ステップワゴンにハイブリッドが欲しい」というリクエストが多いそうだ。

そして3つ目は1~3列目まですべて2人ずつの最大6人乗りというシートレイアウトだ。同業者の中には「ジェイドの3列目は狭くて実用的ではない」という評もある。ただ、そもそもこの手のミニバンでは「3列目を使うのは1年に数回」「3列目は普段は収納、いざという時に使う」というユーザーが多く、3列目の狭さはあまりネガティブな要素にならない。そもそも3列目を頻繁に使う人なら、ジェイドは選択肢に入らない。

その一方で、実際に使ってみて悩ましいのは2列目が2人掛け仕様しか選択できないことである。確かに大型アームレスト採用のVスライド機構を持つキャプテンシートはパーソナル空間を演出させているのも解る。でも、乗用車を軸にした3列シートモデルであれば2-3-2のレイアウトで、普段は5人乗りとして使える仕様を待っている人が多いだろう。

2列目の2人掛け仕様は悩ましい

ちなみに3・4代目オデッセイもストリームも2列目は3人掛け仕様となっている。ちなみに筆者はジェイドを気に入っているが、これが最大のネックとなり、現在買い替えを悩んでいる状態である。細かい部分かもしれないが、実際に使うとなると大きな悩みどころだ。

色々と厳しい事も書いたが、筆者はハッチバック並みのボディサイズに3列シートを実現、更に走りも下手な乗用車顔負けのスポーティなハンドリングを実現と言うジェイドは、世にある3列シートモデルの中で最も好きなモデルである。

世界中を探してもこんなに元気に走るミニバンは存在しない。そういう意味ではミニバンとスポーティハッチのクロスオーバーか!? 更に言えば、ハッチバック/セダン/クーペを持つシビックの一員(シビックシャトル!?)として加えてあげたいくらいだ。せっかくホンダらしい車なのに、いろいろと肝心なところがズレている気がしてならない。

今や、今やセダンに変わり日本車のスタンダードとなった「ミニバン」。バブル崩壊後の1990年前半からブームとなり、今や各メーカーに様々なモデルがラインナップされている。輸入車勢も日本市場でシェア拡大のためには無視できないジャンルで、今まで以上に積極的なモデル展開も行なっている。

Lクラスはトヨタアルファード/ヴェルファイアが日産エルグランド、ホンダオデッセイに対して圧倒的なシェアを持つ。新型は押し出しの強いフロントマスクや動くビジネスオフィスと言ってもいい豪華で快適な居住性、大きくレベルアップした走りが人気を博している。実は600万以上の高級グレードがバンバン売れている状況で、高級セダンのシェアも奪っているのだ。今や「いつかはクラウン」から「いつかはアル/ヴェル」なのだ。

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