オープン間近の「京都鉄道博物館」4つの魅力 国内最大、貨車から新幹線まで53両を展示

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4つ目の魅力が「進化する博物館」。「常に進化する博物館を目指して、新しいことにもチャレンジしていきたい」と三浦英之館長は抱負を述べていた。保存車両と現役車両を自由自在に入れ換えることのできる、本館の引込線スペースがその象徴だ。

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報道陣の質問に答える京都鉄道博物館の三浦館長

初夏には館内を舞台にした結婚式、秋頃には寝台特急の特別展が予定されている。さいたまや名古屋の鉄道博物館との提携、展示物の貸し借りも検討中。姉妹提携するイギリス国立鉄道博物館とのコラボレーションも期待したい。

京都鉄道博物館では、鉄道車両に限らず、幅広い視野で「鉄道」を語ろうと試みられているのが、他社系の鉄道博物館との大きな違いだ。JR西日本の社員が鉄道の仕事、技術を伝えるイベントも予定されている。旧交通科学博物館は鉄道技術と科学の紹介に力を入れていた。そのマインドが、よい意味で引き継がれている。

ちょっと遠いが、徒歩でも楽しい

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京都鉄道博物館は京都駅からはやや離れているが、散策も楽しい

そんな京都鉄道博物館のウイークポイントが、鉄道駅からのアクセスだ。山陰本線の新駅が博物館の隣に予定されているが、2019年春と3年後になる。

京都駅からは徒歩20分とやや遠い。駅前から市バスが頻発しているが、オープン時は相当の混雑が予想される。駐車場は整備されていない。梅小路公園にある障害者や乳幼児連れ専用の駐車場は台数が少ない。

そこで、博物館とJR、京都市は「梅小路つながるプロジェクト」を展開し、京都駅と博物館の間にある梅小路公園内を快適に歩くための魅力づくりに取り組んでいる。

オススメは「市電ひろば」だ。半世紀前に京都市電として走っていた「チンチン電車」が動態保存運転されている。静態保存された市電を活かした店やカフェも見逃せない。

もう一つ、山陰本線丹波口駅からのアクセスも考えたい。電車内からは博物館や扇形車庫を一望できるし、徒歩15分の道中、京都島原を散策するのも一興だ。新撰組の舞台となった建物や街並が今でも残る。

京都鉄道博物館、見所はまだまだ他にもある。広くて1日では見回れないし、なんどでも足を運びたい。オープン当時は相当な混雑が予想されている。入館者が1万人を超えると入場規制が検討されている。JR西日本みどりの窓口、そして全国のセブン-イレブンで日時指定の先行前売券を買うなどして対策しておくことをオススメする。

                        (写真は筆者撮影)

森口 誠之 鉄道ライター

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1972年奈良県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程修了。主な著書に『鉃道未成線を歩く(国鉄編)』『同(私鉄編)』など。

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