「カレー」の真実をどれだけ知っていますか この蘊蓄100章は思わず人に話したくなる

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21. これはインドから英国に渡ったカレーが、江戸後期~明治時代初頭に日本に流入し、独自に発展したもの

22. 明治期には英国からC&Bのカレーパウダーも輸入されていたが、日本式カレーの特徴はとろみの強さ

日本初のカレー調理法は1872年に紹介されている

日本で初めて調理法が紹介されたが、当時のレシピの「ネギ」は長ネギのことだった(写真 :0120 / PIXTA)

23. 1872年に出版された『西洋料理指南』には、日本で初めてカレーライスの調理法が紹介されている

24. 材料は「ネギ・ショウガ・ニンニク・バター・エビ・タイ・カキ・鶏・アカガエル・小麦粉・カレー粉」

25. 一方、同年に出た『西洋料理通』では「牛肉・鶏肉・ネギ・リンゴ・小麦粉・ユズ・カレー粉」となっている

26. 「カエル肉」の使用はフランス料理の影響という指摘もあるが、カエル肉を使ったレシピは普及しなかった

27. また双方のレシピに登場する「ネギ」とは長ネギのことであり、カレーライスで一般的なタマネギではない

28. 現在カレーの具として知られる「ジャガイモ・ニンジン・タマネギ」は、明治初頭にはまだ珍しい西洋野菜

29. のちに開拓地の北海道を中心に国内生産が広がり、大正時代に入って現在のカレーライスの原型が完成する

30. 「ライスカレー」という言葉は1876年に札幌農学校に着任したクラーク博士が考案したといわれる

31. しかし明治初頭、カレーライスは限られた西洋料理店でしか味わえない「高級ハイカラ料理」であった

32. 1905年、大阪の薬膳問屋の二代目主人・今村弥兵衛は国産初の即席カレー粉「蜂カレー」を発売

33. このカレー粉は近隣の飲食店では使用されたが、一般家庭にまで浸透するには至らなかった

34. 一方、英国式カレーは料理店のみならず、大日本帝国海軍でも「海軍カレー」として独自の発展をしていた

35. 当時、海軍軍人の病死の最大原因は脚気であったが、軍医・高木兼寛はそれが白米に偏った食事にあると指摘

36. 高木は日本と同盟関係にあった英国海軍を手本に、栄養バランスを考えた「食事改善」を行うことを試みる

37. 英国海軍はカレー粉を入れたビーフシチューとパンを糧食にしていたが、一般の日本人には馴染みがない

38. そこでカレー味のシチューに小麦粉でとろみをつけ、パンの代わりに米飯にかけたカレーライスが誕生した

39. 日露戦争時、海軍の横須賀鎮守府は調理が手軽で肉も野菜も摂れ、栄養バランスがいいこのメニューを採用

40. 1908年発行の『海軍割烹術参考書』に掲載して普及させ、第一次世界大戦を通じ海軍・陸軍に広まった

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