「ソニー、東芝との提携は必然。世界トップを奪還するためだ」−−シャープ社長 片山幹雄

「ソニー、東芝との提携は必然。世界トップを奪還するためだ」−−シャープ社長 片山幹雄

日本の電機業界を代表するシャープとソニーが、液晶パネルにおいて歴史的な提携を発表したのが今年2月末。シャープが大阪・堺市で建設を進めているテレビ用液晶パネルの新工場(総投資額3800億円)を分社化し、シャープが66%、ソニーが34%を出資する合弁工場にするというのだ。同工場は2009年度中の稼働を予定し、新工場で生産するパネルは両社が出資比率に応じて買い取る。

シャープにとって、世界最新鋭の堺新工場は、韓国・台湾勢からテレビ用パネルで主導権を取り戻すための戦略工場。しかし、畳5枚分に相当するガラス基板に対応した同工場は、42インチ換算でも年間1300万台分に及ぶ巨大なキャパシティを持つ。いったい、それだけのキャパをどうやって埋めるのか--。株式市場やマスコミが新工場の先行きを不安視する中、シャープは国内大手の東芝、ソニーを立て続けに陣営へと引き込み、業界関係者らを驚かせた。

堺新工場の建設、東芝との提携、そして今回のソニーとの堺工場合弁化。昨年春に49歳の若さでトップに就任した片山幹雄社長は、わずか1年でその実行力を見せつけ、今や電機業界のキーパーソンになった。ソニーとの歴史的な提携の背景と液晶事業の展望、そして、「液晶に続く大きな目玉」と語る太陽電池の事業戦略について聞いた。

--ソニーと堺工場を合弁化する背景をあらためて聞かせてください。

堺の新工場で作るパネルをソニーさんに買ってもらうだけでなく、新工場の共同出資にまで踏み込む。皆さんが驚かれたのは、その点ですよね。じゃあ出資なしに単純にパネルを買ってもらうだけでシャープの戦略がうまくいくかというと、いかないと思うんです。ずっとソニーさんが買い続けてくれる保証はないわけですから。堺工場の安定的な操業を確実にするためには、パネルを継続的に購入していただけるという担保が欲しかった。もちろん、ソニーさんとしても工場への出資を望まれていたのは事実ですが、今回の合弁化というのはこちらが希望するかたちでもあったんです。

--液晶はシャープの経営の中核事業です。その工場に他社の資本を受け入れることに抵抗感はなかったのですか。

少なくとも私には、抵抗感はまったくないです。工場のオペレーション自体はこちらが担当するわけですし、何よりも今回の合弁で当社が得られるメリットはとんでもなく大きいですから。テレビメーカーとして世界的なブランド力と販売力を持つソニーとタッグが組めたことで、堺のパネル工場の将来展開がはっきり見えた。短期間で操業度が上がって、どこにも負けないコスト競争力が手に入る。パネルだけじゃなく、テレビ事業もそのコストメリットを享受できるんです。

--堺の新工場の計画を発表したのが昨年夏でした。片山さんの頭の中では、すでに今回のようなかたちを描いていたんですか。

もちろんですよ。できたらソニーさんと合弁で、と考えていました。

--しかし、当時はまだソニー側は決断してませんよね。誘いに乗ってくる自信があった?

自信があったというか、堺のビジネスモデルを成立させるためには、そうしなきゃいけないと。われわれがそう
動いたということです。冷静に考えたら、うちがソニーさんと組もうとするのは当たり前の戦略ですよね。だって、今年夏に亀山第2工場を増産すると、既存のパネル工場だけですでに年間2000万台分(32インチ換算)以上の生産能力になる。うちの液晶テレビの販売台数だけを考えたら、それで今は足りるんです。

しかし、パネル事業で世界と戦っていくには、それでも積極果敢に投資していく必要がある。パネル事業で勝つためには、堺の新工場が絶対に必要なんです。となると、強いテレビメーカーと組んで、新工場の操業度を上げようと考えるのは至って当然じゃないですか。強いパートナーがいなかったら、あんなに巨大な堺の新工場はリスクが大きすぎる。言い換えるなら、うちが堺工場の建設を決めたということは、必然的にどこかと組むということなんです。

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