雇用不安の裏返し? 86.1%が「終身雇用」を支持

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勤労者をはじめ、国民の間で日本型雇用慣行の評価が高まっている。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が全国20歳以上の男女を対象に1999年から継続して実施している「勤労生活に関する調査」によると、「1つの企業に定年まで勤める日本的な終身雇用」「勤続年数とともに給与が増えていく日本的な年功賃金」を(どちらかといえば)良いことだと考える人の割合は上昇傾向にあり、直近2007年(9~10月)調査では「終身雇用」で前回04年調査時より8.1ポイント高い86.1%、「年功賃金」で同じく5.2ポイント高い71.9%となった。

これからの日本が目指すべき社会のあり方では、「意欲や能力に応じ自由に競争できる社会」が大幅に後退(前回04年42.3%から今回07年31.1%)する一方、「貧富の差が少ない平等社会」が急増(同、30.6%から43.2%)し、両者の地位が一気に逆転した。また、フリーターについても、「自由で多様な働き方」と見る人の割合が急減。「生活を不安定にする働き方」と見る人の割合が上昇を続け、88.0%にまで達した。

長期にわたる景気後退とそれに続く実感に乏しい景気回復の下で従来の日本型雇用慣行が大きく揺らぎ、将来の雇用や所得についての見通しを持ちにくい状況が広がっている。こうした安定志向が強まる勤労意識は、高まる不安の裏返しと見ることができる。
(『東洋経済 統計月報』編集部)

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