「中国リスク」徹底検証 対立長期化に備えよ

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欧州や米国の企業が中国への投資を絞る中で、日本からの投資は増加していた(図・上)。賃金上昇を受け、労働集約的な産業ではベトナムなどへの移転も見られたが、電機関連などで巨大な産業基盤ができ上がっている分野、また自動車のように中国が巨大な市場になっている分野では投資が続いている(表)。さまざまなリスクがあるとはいえ、日本企業にとって中国が魅力的な進出先であることは、図・下からも見て取れる。

中国での事業戦略を貫徹する腹を固めた企業の一つが、トヨタ自動車だ。同社は15年までに20車種を中国に投入する計画やそれに伴う工場増強、ハイブリッド車基幹部品の現地生産化などの方針を変えないことを社内で再確認した。

「現地生産の歴史が長い米国でも、リコール問題ではバッシングを受けた。まだ本格進出して10年ほどの中国で、問題が生じるのは当たり前」(トヨタ現地法人幹部)。同社では、現地人材への権限委譲や生産基盤の高度化といった計画を前倒しで達成することでリターンを最大化していく構えだ。

政府同士の関係が漂流する中 で、中国リスクに立ち向かうには、いっそう地元に根を下ろすしかない。多くの企業が、そういう覚悟を固めつつ巨大市場・中国での戦略再構築に挑んでいる。

(本誌:中国リスク取材班、西村豪太、張 子溪、杉本りうこ/桑原幸作、高橋志津子 撮影:ロイター/アフロ =週刊東洋経済2012年11月10日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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