欧州でテロ多発を止められない根本的な理由

セキュリティ対策に穴があるだけではない

同時テロ直後、ブリュッセルの地下鉄などのセキュリティは厳格化された(写真:Daniel Berehulak/The New York Times)

ブリュッセルでは、連続テロ事件に先立つ18日、昨年11月のパリ同時多発テロの実行犯サラ・アブデスラムが逮捕されている。この2つの出来事の間に関係があるかどうかは、まだ明らかになっていない。ベルギーのディディエ・レンデルス副首相兼外務・欧州問題大臣は、アブデスラムはブリュッセルで「何かを再開させよう」としていたという。

アブデスラムは、11月以降国際指名手配されていて、ブリュッセル南西部のモレンベーク地区に潜伏していた。ここはアブデスラムが育った、いわば地元だ。それでも今まで当局の目をかいくぐってきたのは、フラマン人(オランダ語)とワロン人(フランス語)の対立など、ベルギーの警察と情報当局の連携が十分取れていなかったからだ。

足並みそろわないテロ対策

こうしたベルギー警察の改善が必要なのはもとより、欧州連合(EU)は空港、鉄道駅、地下鉄のセキュリティを急いで強化する必要がある。フランスのベルナール・カズヌーブ内相は22日、フランスは警察官1600人を投じて国境検問所と鉄道や空港の監視を強化すると発表した。ドイツもベルギーとの国境の監視強化を発表した。

ベルギーとフランスはテロ対策に力を入れてきたが、官僚機構の法的、実務的、管轄的な対立が妨げになっている。欧州委員会は昨年4月、テロ組織に加わることを目的とする外国旅行を刑事罰化するなど、テロ対策を強化する「治安に関する欧州の行動計画」を採択した。しかし約1年たっても、EU加盟国での履行は進んでいない。

しかしこうした対策も、なぜこれほど多くの欧州の若者がISに引かれるのかという、根本的な問題に取り組まなければ意味がない。最近のテロ事件に関与した者はみな、欧州で生まれ、イスラム教徒の移民が大半を占める貧しい地区で育ち、軽犯罪や麻薬取引に手を染めた経験がある若者、という共通点がある。

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