ホークス新拠点「選手と共に育つ街」の大勝負 周辺地域の力を結集、山積みの課題に挑んだ

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筑後船小屋駅前では開業記念イベントを開催。周辺地域の飲食店も多数出店して賑わった
3月19日に開業を迎えた、福岡ソフトバンクホークスのファーム(2軍、3軍)新施設「HAWKSベースボールパーク筑後」。その誘致に成功した”無名の自治体”福岡県・筑後市に注目が集まっている。
記事の前編では誘致決定までの道のりをお伝えしたが、今回は誘致決定後から開業までの奮闘ぶり、そして展望について、筑後市役所・ホークスファーム本拠地整備推進室の江崎紹泰さんと串田杏衣さんのお話しをもとに紹介したい。
前編:"無名自治体"がホークス誘致に成功した理由

 

3月19日、「HAWKSベースボールパーク筑後」のメインスタジアムで行われた、”こけら落とし”のウエスタンリーグ・カープ戦。ホークスは新本拠地での初戦を逆転サヨナラ勝利で飾った。

昨年秋に結成された、筑後のファーム専用のファンクラブも大いに盛り上がり、開幕戦のチケットは早々に完売。19、20日は両日とも満員の3113人を動員し、歓声や打球音が周辺に響きわたった。

スタジアム周辺の駐車場には県外ナンバーの車も多数見受けられ、ホークスの人気の高さをうかがわせる。駅前では開業記念イベントが行われ、開幕戦のチケットを手に入れられなかった人たちも皆、お祭りムードを楽しんでいるようだった。

市と球団、両者にとって「初めてだらけ」だった

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2013年12月25日、34自治体の中からホークスファーム本拠地に選ばれた筑後市。しかし喜んでいるのもつかの間、華やかな開業を迎えるまでの本当の奮闘は、ここからだった。

建設地に決定したはいいが、最初は球団がどういう施設を建て、そこでどんな活動をするのか、詳細が見えていなかったのだ。

筑後市を含め、福岡県南エリアにプロスポーツのチームが拠点を置くことは初めてだった。しかもホークスの側も、本拠地のドームや2軍球場はすべて既存施設だったため、球団が100%自前で建設・運営するのは初。「お互い初めてづくしで、何を優先するのかという部分の調整が難しかった。水面下でかなりの協議を重ねました」と、江崎さんは振り返る。

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