GSユアサが秘める悩み、エコカー用電池で脚光だが…

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 別の電池メーカー担当者は「世界の新車販売の1%がEVになっただけで、今の蓄電池市場(7200億円)は2倍以上になる」と推測する。とすれば連結売上高3000億円程度のGSユアサにとって、エコカー用電池の潜在市場は、会社のそもそもの基盤を根底から覆すに十分な巨大さだ。依田社長は断言する。「やがては、鉛電池中心のメーカーからリチウムイオン電池メーカーへと、大きな変革を遂げることになる」。

もちろん、大投資の裏には、実際にビジネスが進捗している背景がある。GSユアサは、すでに三菱自動車、ホンダの2社と合弁を作り、電池の供給先を確保している。

自動車2社との合弁で異例の経営主導権

三菱自動車とは製造合弁会社を通じて、09年春から電気自動車「アイ・ミーブ」向けリチウムイオン電池の生産を開始。09年度こそ年間2000台分の生産にとどまるが、3年後の12年度には、仏PSAプジョー・シトロエン向けの「アイ・ミーブ」OEM供給も加わり、年間3万台へ拡大させる計画だ。さらには三菱が開発中のプラグインハイブリッド車向けの搭載も期待される。

ホンダとは、4月にリチウムイオン電池の製造合弁を設立。「インサイト」など現行のハイブリッド車はニッケル水素電池を搭載しているが、ホンダはより高容量で軽量化が可能なリチウムイオン電池へ今後移行する方針だ。現在、京都府内に新工場を建設中で、10年秋の稼働を予定している。「シビックハイブリッド」やEVなど、11年以降に発売を予定するエコカーへの搭載を視野に入れている。

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