書類を整理することで得られること 「ミニマリスト」から学ぶ効率と集中力の上げ方
「探す」「選ぶ」作業で
効率悪化、集中力低下
会社でも自宅でも、自分のデスク周りで最も場所を取っているモノ、それはズバリ〝書類〟ではないだろうか。整理しようと思っても、捨てるに捨てられず「とりあえず……」とついつい溜め込んでしまう。だが、いざ必要な時には見つからず、仕事をしようにもデスクには書類の山が連なりスペースがない。こんな時、どうすればいいのだろうか。
「書類は思い切って捨てるか、スキャンしてデジタルデータ化する。それが仕事の効率を高めるための最も効果的な方法です」
そう語るのは、ステーショナリーディレクターとして活躍する土橋正氏だ。著書『モノが少ないと快適に働ける』(小社刊)で書類の山から解放されるミニマリズム的整理術を伝授する整理術のエキスパートである。
「整理術とは、いわば、入ってきたモノを出すこと。実はほとんどの人はこの一連の『流す』作業をしていません。たくさんモノがあれば満足感は得られますが、仕事で使う際には『探す』『選ぶ』作業が必要になる。この作業に時間を取られていると、実際に仕事をする時間はどんどん削られ、集中力も落ちていくのです」
そう語る土橋氏も、もともと整理は得意ではなかった。だが、独立してコンサルタントとして仕事の効率化を試行錯誤していく中、「少ない道具で作業すると仕事に集中できること」を見出し、それ以降、集中力を妨げる〝ノイズ〟を減らすことに注力したという。その結果、一日の労働時間は減る一方、家族との時間は増え、その時々の仕事に100%集中できる環境を手に入れたのである。
そんな土橋流整理術のカギとなるのが、書類を「スキャン」することだ。文字どおり、書類をスキャンしてデジタルデータで保存することであるが、そのコツを順に紹介しよう。
まずは、デスクにある書類をすべて分類するところから始める。
1 アクティブ書類
2 スキャン用書類
3 保存用書類
4 ゴミ箱行き
1は現在取り組んでいる仕事関連の最新版のもの、2は過去の大事な書類など、紙としての存在より中身の情報が重要なもの、3は紙として重要な契約書など、4はゴミとなる。ここでポイントになるのは、すべての書類を1~3までファイルで分類し、日々の「書類整理の流れ」をつくること、そして「とりあえず取っておく」という選択肢を持たないことだ。そうやって実際に分類していくと「スキャン」と「捨てる」作業が多くなるはずだ。