一流アスリートほど「英語力」が不可欠なワケ 「五郎丸ショック」でわかった英語の必要性

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この2選手を参考にすれば、少なくとも小学生のころから英語習得に励む必要があるかもしれない。小学生、中学生の年代では自ら世界に目を向けることが難しいため、早くから海外遠征や外国人コーチに触れる機会を作ることも重要だ。早いうちから海外経験などを積むことで世界一流選手のレベルを肌で感じられるだけでなく、言葉が通じず四苦八苦した経験がより高みを目指すきっかけにもなる。

先日マレーシアで開催された世界選手権で、男女ともに見事に銀メダルを獲得した卓球のように非英語圏(中国やドイツなど)が主戦場の競技を行う場合は、英語に加えて中国語など第三言語の習得も求められるかも知れない。

セカンドキャリアを築くための「武器」

一方、英語力は引退したアスリートにとってもセカンドキャリアを切り拓く武器になり得る。アスリートのキャリアコンサルティングを行うmemeの山浦光博代表取締役は引退後のアスリートについて次のように指摘する。「トップアスリートになればなるほど、引退後にセカンドキャリア問題を起こしやすい。スポーツにどっぷりつかってしまったおかげで、スポーツ以外に目を向けるのが難しくなるばかりか、社会で必要とされるスキルを持ち合わせていないことが多い」。

私たちが、普段メディアを通じて目にしている元トップアスリートは、ほんの一握りにすぎない。多くは引退後のキャリア構築に苦労しており、ほとんどが成功していないのが現状だ。英語を学ぶことがセカンドキャリア問題の解決につながるとは言い切れないが、少なくとも武器になることは間違いないだろう。

たとえば、英語が堪能ならば選手の代理人として海外チームとの交渉やコーディネートに携わったり、海外選手のトレーナーになったりすることが可能だろう。また、スポーツの世界ではなく、一般企業に再就職するとしても、英語力を生かした仕事に就くことができるかもしれない。

アスリートの活躍の場が世界に広がっていることは喜ばしいが、アスリートには競技練習に加え、英語習得という新たな「負担」が課せられる。2020年の東京五輪では、おそらく現在の中学生から大学生が主力選手になるだろう。その中から少しでも多くの日本人メダリストを輩出するためには、競技レベルの向上と並行し、英語のレベルアップにも取り組むべきかも知れない。それには、選手自身の努力はもちろんのこと、監督やトレーナー、保護者など周囲のサポートも欠かせない。

平尾 諭 EF総合教育研究所研究員

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ひらお さとし / EF総合教育研究所研究員

1983年生まれ、岐阜県出身。中央大学大学院 戦略経営研究科(ビジネススクール)卒業。

アマゾンジャパン、オグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパン・グループなど外資系企業を得て、2014年、53カ国で教育事業を展開する世界最大の私立教育機関EF Education Firstの日本法人であるイー・エフ・エデュケーション・ファースト・ジャパン・グループ(EF)に入社。入社後、オンライン英会話スクール「EF English Live」のマーケティングマネージャーして「EF English Live」の国内のマーケティング戦略を担ったほか、国内のトップアスリートを対象にした英語トレーニング支援を推進。現在はEF総合教育研究所の研究員としても活動し、国内外の教育、人材開発に関する様々な調査分析業務を遂行する。

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