震災から5年、被災した鉄路の今とこれから 再開が見えた路線やBRT化…まだ続く模索

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気仙沼線のBRTは2015年6月27日から、写真の前谷地駅へ乗り入れを開始。同年末にはBRTによる本復旧が決まった
東日本大震災から、ちょうど5年となる3月11日。長いような短いような5年間であったが、津波による被害を受けた鉄道にとっては、決して無為に過ごした時間ではない。各路線がそれぞれに公共交通機関として復活を模索し、「進むも退くも茨の道」ではあるものの、一応の決着がこの間につけられた。
この記事は、被災した鉄道の取材で訪れた岩手県宮古市で執筆している。私のライフワークとなった「震災からの鉄道復興」を見つめる旅であるが、「道のりはまだ遠い」というのが今の実感である。ただ一方で、着実な歩みも感じられる。不通区間の直近の動きと現状、将来への見通しなどを紹介したい。

原発と津波被害の常磐線はいま

常磐線の不通区間には、福島第一原子力発電所事故に伴う竜田〜原ノ町間と、津波の被害を受けた相馬〜浜吉田間がある。

このうち前者は帰還困難区域を通過しているため、被害状況の把握すらできない段階が続いていたが、その後除染が進んで、ようやく調査、復旧工事への着手に動き出した。

同区間には現在、途中ノンストップで1日2往復の代行バスが運転されており、2015年1月31日の初便には私も乗車。「原発被災地の『鉄道代替輸送』に足りないもの 」(2015年3月10日)といったルポも発表した。今も昨年の状況は特に変わっておらず、多少の緊張感を伴いながらもバスは淡々と走っている。増便されていないところを見ると、さほどの混雑もないようだ。

原ノ町(福島県南相馬市)以北と東京方面との往来は、いまだ仙台経由や、高速バスとの乗り継ぎによる福島経由で東北新幹線へアクセスすることが主流のようで、東京方面へのJRの割引きっぷのPRが盛んに行われていた。

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