【海運大手3社の今期業績】宴の後の大苦悶、23年ぶりの歴史的不振

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 タンカー市況の4~6月期実績は以下のとおり。4~6月期の水準では赤字運航。先進国経済の落ち込みで原油需要が大きく低下、前年同期と比べるとタンカー市況は3分の1以下に落ちこんでいる(基準運賃修正後ベース。後述)。通期見通しは前期比3割強マイナスの厳しい見通しとなっている。 

VLCC(WS)の見通し:
      通期見通し:   
      期初 今回修正  前期実績 4~6月実績  前年同期
 日本郵船 51  47     81   35     124
 商船三井 50  52     77   32     114
 川崎汽船 54  39.5   77   35     124

(注)実績は基準運賃修正後。基準運賃は09年1月に約4割上昇している。実績値が異なるのは各社が公表している値の元データの情報会社の違いや対象航路の違い、集計方法の違いによる。川崎汽船は今回、上期見通し34と下期見通し45のみを開示。表記はその単純平均

バラ積み船に自動車船やタンカーなどエネルギー船を含めた「不定期専用船」の部門経常利益見通しは以下のようになる。上期は3社とも自動車船の台数やタンカー市況の見込み違いで110億~150億円の大幅減額。上期減額幅は、自動車船最大手の日本郵船が最大。川崎汽船はコンテナ船以外の「その他海運業」すら「上期経常赤字に転落する」としている。下期は3社とも期初想定から10億円~20億円程度の減額にとどめているのは、自動車船の荷動き回復による下期黒字化や、エネルギー需要の若干の下期回復を3社とも織り込んでいるため。

不定期専用船の部門経常利益見通し:
 
 期初      上期     下期     通期
 日本郵船  170億円  530億円  700億円
 商船三井  290億円  560億円  850億円  
 川崎汽船   45億円  235億円  280億円   

今回修正    上期     下期     通期
 日本郵船   20億円  520億円  540億円
 商船三井  180億円  550億円  730億円
 川崎汽船  ▲70億円  215億円  145億円
       
 【修正幅】   上期     下期     通期
 日本郵船 ▲150億円  ▲10億円 ▲160億円
 商船三井 ▲110億円  ▲10億円 ▲120億円
 川崎汽船 ▲115億円  ▲20億円 ▲135億円
 
 (注)川崎汽船はコンテナ船事業以外の「その他海運業」

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