きめ細やかな配慮から生まれる
日本人のスーツスタイル
ダーバン

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袖を通した瞬間、「着心地がいい」とわかるスーツに出会ったことはあるだろうか。本来、スーツは西洋の服だから西洋人の方が圧倒的に似合うスタイルであり、彼らのためにつくられたスーツを着て心は満たされても、実は窮屈に感じている日本人は少なくない。だから、日本人の体型に合わせて、きめ細かくディテールを改良し、日本人らしいモダンなテーラードスタイルを確立したダーバンのスーツは、はおった瞬間、誰もがその着心地に驚きを見せる。

いま50歳以上の人なら覚えていると思うが、1970年代、フランスの名優アラン・ドロンを起用したダーバンのCMは、強烈なインパクトを人々に残した。彼が最後に発する“D'urban c'est l'elegance de l'homme moderne=ダーバンは、現代の男性のエレガンスだ”というフレーズが印象的で、わずか10数秒の映像にもかかわらずついつい見入ってしまったのを思い出す。そして、それは世の大人が抱く「カッコよくいたい」「お洒落でいたい」「上品な大人でいたい」という心理に見事に突き刺さった。

一気に大人のスーツとして認知されたダーバンは、以来40数年にわたって「時代の中心となるスタイル」と「日本人の体型に合わせたスーツ」というテーマをクリアしながら、ビジネスパーソンのためのスーツをつくり続けてきた。その根幹にあるのがジャパン・メイドであること。それは、単に日本で製造している、ということだけではなく、日本人の繊細な感覚、モノづくりへのこだわりや文化を、しっかりと反映している。

たとえば、素材。ダーバンの素材は、イタリア・ビエラや英国のハダースフィールドと並ぶ高級ウールの一大産地、愛知・尾州地区の毛織物メーカー数社と組んで企画、開発を行っている。それはまさにイチからのモノづくりで、糸からつくり上げていくのである。日本の風土にあった質感、色彩を一つひとつ吟味して練り上げていくことで、一見無地だが、よく見るといくつもの色が混ざって違った色彩になっているというような、独自の生地、柄をつくることができるのだ。それが、他には真似できないダーバンの強みになっている。

明治以降に大きく発展した愛知・尾州地区は、イタリア・ビエラや英国・ハダースフィールドと並ぶ世界的なウール生地の名産地。その毛織物メーカー数社と組んで、ダーバンは糸から企画・開発を行っている
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