成長続いた楽天、海外事業で減損の「誤算」

過去最高の売上高でも8年ぶり減益の理由

2015年夏に開かれた楽天市場の出店店舗向けイベント「楽天EXPO」。三木谷氏は「日本の人口は減っている。世界に商品を売っていく必要がある」と力を込めた(撮影:尾形文繁)

足を引っ張っているのは、海外事業だ。楽天は2005年以降、海外で企業買収を加速させてきた。中には、2014年に過去最大の1000億円超で買収した米EC集客支援サービスの「イーベイツ」や、約500億円を投じた米電子図書館事業の「オーバードライブ」など、着実な収益貢献を実現している成功例もある。ただ、その一方で、今回減損対象となったプライス・ミニスターなど、海外で展開してきたEC事業の多くで苦戦が続いている。

楽天は決算に合わせて、2020年を最終年とする、「ビジョン2020」と銘打った中期経営計画を発表。1997年の創業以来、中期経営計画の公表は、初めてである。2020年までに、売上高を2015年度比で2.3倍の1兆7000億円に、利益水準も大幅に引き上げるという内容だ。三木谷氏は「目標というより計画。十分に実現可能だ」と達成に自信を見せた。

その中期経営計画では、国内EC事業や、金融事業のフィンテック分野を成長ドライバーに、利益水準の大幅な向上を掲げた。その一方で見逃せないのは、海外でのEC事業が転換点を迎えているのが、鮮明になったこと。計画では、買収や合弁会社の設立などを通じて膨張を続けてきたこれまでの戦略を、いったん見直す方針を打ち出している。

海外EC事業は一部で事業縮小

海外EC事業の戦略見直しは、米国やインドネシア、シンガポール、マレーシアなどで、事業の一部縮小を行う内容である。インドネシアなどでは人員整理にも踏み込み、タイではEC事業会社の売却先の検討を始めた。今後、米国では「直販型」から撤退して、各種ECサイトに送客するイーベイツとEC事業者がモールに出店する「マーケットプレイス型」に集中。EC市場の小さな東南アジアでは、逆にマーケットプレイスをやめて、個人間売買の「フリマアプリ」へと切り替える。

今のところ、盤石と言ってもよさそうな国内事業だが、今後も中長期的に高成長を続けるのは、容易ではない。国内ECでは最大のライバルである、米アマゾンが音楽・動画配信など有料会員向けサービスを拡充しており、顧客の奪い合いが続く。楽天の跡をたどるように、ヤフーは自社発行のクレジットカードとECを連携させてポイントを付与するという、ECと金融でシナジーを創出するビジネスモデルで攻勢。競争環境は厳しさを増している。

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