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攻めるべき営業先を可視化するために 東京商工リサーチ

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BtoB(企業間)ビジネスにおけるマーケティング手法が変わろうとしている。勘や経験に頼っていた手法から、データに基づいた手法に切り替えようという動きが顕在化しつつあるのだ。優良な顧客となる可能性の高い企業を統計学的知見なども駆使して割り出し、集中的にリソースを投入していくのがその特徴だ。ただし、新しい手法を成功させるためには、品質の高い大量の企業データが不可欠になる。だが、そのようなデータがいったいどこにあるのか……。実は与信管理に使われる企業の信用情報が、マーケティングでも価値を生み出しているのだ。

顧客の姿を知るために

東京商工リサーチ
マーケティング部 部長
弓削 正範
「マーケティングや営業活動の基盤となる企業名の名寄せができていないことが少なくありません」

 顧客のことを、どれだけ知っているのだろうか……。BtoBビジネスを展開している企業の場合、見込み客をどのように絞り込んでいくのか、最適な解を見いだせないケースが多いのではないだろうか。そもそも、既存の顧客について、印象ではなく定量的なデータに基づいて把握しているか、という問いに自信を持って即答できる企業は、どの程度あるのだろう。

 製品やサービスの品質、競争力で圧倒的なポジションを獲得できるのであれば、勘と経験に頼っていても結果につながるのかもしれない。しかし、競合サービスとの差別化が失われてコモディティ化が急速に進む成熟した市場では小さな利幅を確保するために、効率的かつ少しでも投資対効果の高いマーケティング活動を実践しなくてはならないはずだ。

 「一つの大きな問題はアカウントの活用にあります」と指摘するのは、東京商工リサーチ(TSR)マーケティング部の弓削正範部長。「マーケティングや営業活動の基盤となる企業名の名寄せができていないことが少なくありません。たとえば、誰かが社名入力時に誤記をしてしまえば、一つの顧客のデータが複数存在することとなります。とりわけ、日本企業の社名はカタカナ、アルファベット、漢字などと多様ですから企業を特定することは簡単ではないのです」と続ける。

 約300万社に及ぶ日本企業のデータベースを保有しているTSRは、独自のアルゴリズムを用いた名寄せのテクノロジーによって、企業のデータベースの誤りを修正することができる。「 “マッチング”と呼んでいますが、誤りを直し、ダブりや存在しない企業などを排除することによって、マーケティング活動に活用できる最新かつ正確なデータベースに転換し、新たな企業コードを付与するのです。企業が特定できれば、TSRが持っているさまざまな属性情報を付加することで、顧客の姿がはっきりと見えてくるでしょう」と弓削氏。TSRの企業データは、与信管理のための情報なので品質は高い。全国各地に拠点を構え、専門の調査員が直接企業を訪問するなどの方法で企業情報が更新されている。

 しかも、企業情報のデータベースで世界のリーディングカンパニーである米国ダンアンドブラッドストリート(D&B)と業務提携を結んでいるため、D&Bが保有している世界約2億5000万件超もの企業情報も活用することができるのである。

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