ANA、「A380」だけじゃない大勝負の行方 JALの"足かせ"が外れる前に全方位で攻勢

拡大
縮小
新たな中期経営戦略で意欲的な施策を次々と打ち出したANA。その勝算はいかに(撮影:尾形文繁)

何とも歴史の因果を考えさせられる展開だ。1月29日、航空大手のANAホールディングスは2020年度までの新たな中期経営戦略を発表した。その大きな目玉が、欧エアバス製の超大型旅客機「A380」の導入である。

実はこの機材、昨年1月28日に経営破綻したスカイマークも購入しようとしていた。ただ、急激な円安の進行などにより、同社の資金繰りが悪化。エアバスに対して条件の変更などを申し出たが、最終的には巨額の違約金を要求された。これが、スカイマークが破綻に至る引き金の1つとなった。

そんな“いわく付き”の機材を、スカイマークの破綻からちょうど1年と1日後に、ANAは3機導入すると発表した。2018~2019年度に受領し、ハワイ・ホノルル線に投入する予定だ。

ANAHDの長峯豊之取締役は「これまではビジネス需要をターゲットとしてきたため、富裕層を含めたプレジャー(観光)需要への対応が手薄だった」と、その狙いを語る。

ホノルル線はJALの後塵を拝す

数あるリゾート路線の中でも、高い人気を誇るホノルル線。ANAは現在、成田から1日2往復、羽田から同1往復を運航している。これに対し、ライバルの日本航空(JAL)は成田から同3往復、羽田は同1往復、さらに関西や中部からも1往復ずつ飛ばしている。

日本―ホノルル線の提供座席数に占めるシェアは、ANAが10%にとどまる一方、JALは37%。米系航空会社と比較しても、ANAの供給力は見劣りする。

次ページA380導入の本当の理由とは?
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT