消費税増税なくして社会保障は守れない−−衆議院議員 与謝野 馨

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増税の議論は今こそ必要 2010年代では遅い

--与野党を問わず、負担増は2010年代に入ってからで十分であり、財政のムダを省くのが最優先だと主張する人たちが数多くいます。そうした中で、今こそ国民に負担増を求めるべきだと発言する理由は。

まず一つは、法律上の約束の問題、すなわち基礎年金に関する国庫負担引き上げを早急にやらざるをえないということがある。これには約2兆5000億円の財源が必要です。

もう一つは、06年12月および昨年12月の自民党の税制改革大綱の中で、いずれも09年度のうちに消費税を含む税制の抜本改革を行うと書いていることが理由です。それから総理大臣の施政方針演説もそのような文脈で語られている。加えて、(政府与党の公約として)11年度にはプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化する必要がありますが、今の推計では黒字にならないということからも、税の議論を始めなければならない。10年代で十分だという主張は、選挙が近いので議論は先送りにしようという発想の裏返しにほかならないし、そうしたことを続けていると、日本の財政状況はますます悪化していきます。

一方で国民は医療や年金制度が維持されなくていいとは思っていない。また、われわれは「新古典派」の人たちのように、必要なのは国民の自助努力だといって、福祉をカットしていくこともしたくない。避けがたい現実として、国民負担増が目前に迫っていることを、国民の皆様にはご理解いただきたい。 

--財革研は2月には「埋蔵金は存在しない」との報告書も明らかにしました。

政府が財産を隠しているというのは荒唐無稽の主張だということです。その一方で、不必要な資産や歳出の圧縮にはこれまでも努めてきた。公的年金の積立金は140兆円(06年度末)に上るが、これは埋蔵金などではない。国民の皆様から預かっているおカネであり、手をつけてはいけない。外国為替特別会計には06年度決算で17兆円の積立金がある一方、1ドル=101円の円高になった時点で正味の積立金はゼロになる計算です。今までは状況を見ながら、毎年度に発生する利益から最大限、一般会計への繰り入れを行ってきており、過去10年間の外為特会からの繰入額は15兆8000億円にも上っています。 

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