いよいよエントリーシート(ES)を提出する時期が迫ってきました。マニュアル本と首っ引きになる前に、企業はESをどの程度選考材料としているのか、『就職四季報』でESの選考状況を見てみましょう。
「ESで落とす」会社は着実に増えている
そもそもESは全社に課せられているわけではありません。また、ESは提出させるが、その段階では落とさないという会社もあります。
『就職四季報』では、ES自体ない会社は、「選考ポイント」のESのところに「提出なし」、ESはあるが選考はしない会社は「通過率」のところに「選考なし」と表示されています。必ず確認してください。
ただ、近年、残念なことに、「ESで選考する」、つまり落とす可能性があるという会社は着実に増えてきています。

2011年版では「選考する」会社は4割程度で、ES自体ない会社を含め、「ESでは選考をしない」という会社が残りの6割でした。これが、3年後の2014年版では逆転。「選考する」会社が6割弱を占めるようになりました。
2017年版でも、この傾向は変わらずES自体をなくした会社や「選考しない」会社が減り、「選考する」会社は100社増、割合としては6割を超えました。また、選考するしないに係わらず、「ESあり」の会社が8割を超えていることに注意してください。
昨年に引き続き、今年も学生にはフォローの風が吹いているといわれますが、厳選採用の流れは変わりません。さらに採用スケジュールの短縮化で、企業側には、全員を面接まで進めてじっくり人物を見極める余裕がなくなってきています。
一昨年、エントリーに受験料を徴収するというドワンゴの新しい試みが話題になりました。人気の高い会社では多すぎるエントリーに悲鳴をあげており、自社を深く研究している「本気の人だけ受けてほしい」と思っているのが実態です。
ESで選考するかどうかは業種で顕著な差がある
グラフに表れているように、ESでの選考状況は業種によって顕著な差があります。「選考する」割合が高いのは、マスコミ、コンサルといった少ない枠に応募者が殺到する代表的な業種です。

また、メーカーやエネルギーでも「選考する」割合は7割を超えています。
他業種が軒並み「選考する」割合を上げるなか、金融と建設・不動産はともにその割合が約5割と以前から傾向を変えていません。理由としては、事務系総合職を対象とした集計なので、両業種とも人を相手にする営業が多いことが挙げられますが、その他、採用手法が比較的固定しているとも考えられます。
小売業とソフトウェア会社はES提出義務のある会社も相対的に少なく、ESであまり選考しない業種の代表格です。この傾向に変わりはありませんが、2011年版では2割に満たなかった「選考する」割合は、6年間で大きく増えています。この2業種はESがない会社が多いことが特色の一つとなっていましたが、その傾向も薄れてきているようです。
おそらくこうしたES選考の傾向を察知して、学生側もES対策に年々力を入れてきています。そうしたなかでES作成の省力化を謳うサービスも出始め、果たして省力化できるのか、省力化してよいものか戸惑っている人も多いのではないでしょうか。
「ESの選考ポイント」でどこを見ているのかがわかる
『就職四季報』の「ESの選考ポイント」を見ると、企業がESのどこを見ているのかがわかります。「論理性」や「丁寧さ」など、各社共通で書ける部分もありますが、それだけで終わっている会社はほとんどありません。
「志望動機」に加え、「当社への熱意」、「当社で何がしたいか」、「会社と業務の理解度」など、その会社でしか通用しないことがほとんどです。「学生時代に力を入れたこと」という項目も、どの会社でも通用することを書いても人事には響かないでしょう。学生時代に力を入れたことが、自社の志望につながって初めて心に響くものになります。
ESは面接の最も重要な参考資料となります。各社共通部分で力を使ってしまわず、会社オリジナルの設問に注力することです。もちろん、共通項目を重く見て選考をする会社もあるのかもしれません。ただ、そうした会社は、入社後もオリジナルな創意工夫よりも、もともとの人材スペックを高く評価する会社である確率が高いのではないでしょうか。
企業がESで何を見ているのか。その背後にあるものまで考えて企業選びを進めることで、受ける企業がより絞られてくるはずです。
