肝いりのはずの「子育て支援策」が心配な理由

3世帯同居促進の減税に、何の意味があるのか

戦後の日本は工業化や都市化とともに核家族化が進み、1世帯当たりの平均世帯員は1950(昭和25)年に5.0人だったのが1975年には同3.4人に減少。その後も単身者世帯の増加もあって明確に上向くことはなく、最新統計となる2014年6月は2.49人と過去最低を更新している。一方で、かつての大家族が持っていた機能の多くは公共・民間のサービスに担われる部分も多くなっている。

一方、高齢者は年を取ったら年金や自己資金で暮らし、誰の犠牲にならずに自分の趣味に没頭することができる時代になった。高齢者も元気なうちには好きなことをする生き生きとした老後を送りたいという願望から孫の世話をしたがらない高齢者もいるという。

実際、生存中は子供家族とはあまり接触せず、一人暮らしだった相続人の遺産調査をしていると、趣味に高額なお金を毎月使っていた高齢者がいたほどである。また、少子高齢化の世の中、孫がいる高齢者も減少している。やっと待望の孫が出来た頃には子供の晩婚化で年老いてしまい、孫の世話どころではなくなってしまい、育児における「戦力外」になる高齢者も多いと聞く。

今さら「子育ては家族がするもの」は虫が良すぎる

ほんの10年前に「子育ては社会がするもの」だった政府の認識は、こうした大きな流れに沿ったがゆえであろう。そのうえで、「子育ては家族がするもの」という流れに大きく舵を切るという前提に立って仮に少々の経済的アドバンテージを与えられるとしても、ほとんど効果はない。同居によって期待できるとされている「育じい・育ばあ支援」といった保育施設の不足を同居によって補おうというのも、虫が良すぎる話になってしまう。

3世代同居を促進するリフォーム減税の弱点自体は些少な話かもしれないが、結局、日本政府は少子化問題に対するさまざまな施策や方針に一貫性がなく、長期的かつ広い視点を持って対処できてこなかったことを露呈している。今回も大風呂敷を広げているが、細部を見ると「お茶を濁して」いるだけだ。これ以外に進められる子育て支援強化策も「絵に描いた餅」にならないか、何とも心配になってくる。

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