石油化学は再編必至、中国需要の神風でも過剰設備の重荷


 昨夏以降、低迷の一途をたどってきた石油化学業界。国内プラントの平均稼働率は2月に74・3%となり、1996年の調査開始以来の最低水準を記録した。

しかし足元では、ようやく明るい兆しが見え始めている。大手の三菱化学、住友化学、三井化学、昭和電工、東ソーは、4月に入り減産幅を10%程度縮小した。各社の工場稼働率は、採算ライン目前の水準まで改善したもようだ。背景には「中国の大型景気対策による効果」(住友化学の米倉弘昌会長)が大きい。ただ「底打ちが実需によるものなのか、一時的な当用買いなのか見極める必要がある」(住友化学の廣瀬博社長)と慎重な声も聞こえてくる。

中国への輸出拡大は“神風”とも呼べる勢いだ。昨年12月、中国の合成樹脂輸入量は前月比55%増の110万トンに膨らんだ。特に塩ビは同2・4倍に躍進。「石炭ベースの製法を用いる中国メーカーと比べ、原油安でナフサベースの製法を用いる国内メーカーがコスト競争力を上回った」と業界関係者は指摘する。

不採算でも輸出?

中国向けが牽引し、2月にはエチレン換算の輸出比率が、前年同期の6・3%から、なんと50・1%まで急伸した。ただ原油価格は上昇しており、期待の塩ビも競争力は薄れつつある。

一方で2月の汎用樹脂の国内出荷量は、7カ月連続の前年同月比マイナスに沈む。メインの需要家である製造業の不況が響いている。

ゴールドマン・サックス証券の横尾尚昭マネージング・ディレクターは「著しく内需が落ち込む中、在庫を圧縮してキャッシュを確保するために不採算でも輸出している」と分析する。そして「底打ちにはまだ半年程度かかり、生産が回復しても需給は緩く採算は悪いままだろう」と厳しい見方を示す。

これまでも生産余剰分は、中国向けを中心とする輸出でさばいてきた経緯がある。ただ近年、中国や中東で大規模な設備増強が行われており「日本勢は厳しい戦いを強いられている」(大手商社)。特に中東では日本が主原料とするナフサより、コストが10分の1で済むエタンガスで各種中間製品を作っている。

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