三洋電機の今期は900億円の最終赤字へ、ドル箱の2次電池失速で来期は営業赤字も

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三洋電機の今期は900億円の最終赤字へ、ドル箱の2次電池失速で来期は営業赤字も

三洋電機は今2009年3月期業績見通しを下方修正した。営業利益は従来予想の300億円を収支トントンへ、最終損益は従来の収支トントンの予想を900億円の赤字に引き下げた。第4四半期(09年1~3月)における2次電池や半導体・電子部品の業績悪化が想定以上に深刻なうえ、赤字が重い半導体事業を中心に構造改革費用の大幅な積み増しを余儀なくされ、1月に続く再度の減額修正となった。急激な業績悪化を受け、経営側は定期昇給の1年凍結と無給休日導入による実質的な基本給カットを労働組合に提案した。

営業利益の下振れは、「2次電池、電子デバイス、半導体のさらなる失速」(前田孝一副社長)が主因。世界的な景気悪化でパソコンや携帯電話、AV機器などの取引先メーカーが大幅な生産・在庫調整に走った影響を受け、1~3月は半導体を始めとする部品分野の需要が予想以上に落ち込んでいる。特に不振が深刻な半導体は、年間の赤字幅が250億円以上に拡大する見通しだ。また、同社の屋台骨を支えるリチウムイオン電池も昨年後半から大失速しており、1~3月は2次電池も赤字に転落する可能性が高い。

業績悪化を受け、同社は構造改革費用を従来計画の200億円から730億円に積み増す。追加計上分530億円のうち、450億円が半導体関連の構造改革費用。その大半が国内外の生産設備の減損で、前工程の主力拠点である群馬、新潟工場は設備の簿価をゼロにまで引き下げた。また、半導体事業を対象とした早期退職者募集に想定の倍にあたる約1000人が応募したため、割増退職金も計画より膨らんだ。

今回の修正を踏まえ、「東洋経済オンライン」も今期、来10年3月期の業績予想を表記のように引き下げる。会社側の説明によると、来期については、今回の構造改革で150億~200億円の増益効果が期待できるという。しかし、特に上期は受注自体の低迷で半導体や電子部品、2次電池の苦戦が続き、そうした構造改革効果も帳消しになる可能性が高い。特にドル箱の2次電池の収益悪化はインパクトが大きく、「東経オンライン」は来期の営業赤字を予想する。

なお、同社を巡っては、パナソニック<6752>が昨年末に子会社化の意向を発表し、米ゴールドマンサックスなど三洋の大株主金融3社との間で株式買取の合意に至っている。ただし、海外での独禁法手続きに手間取り、今春を予定していたパナソニックによる三洋TOBは来上期中にズレ込む見通しだ。
(渡辺 清治)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2008.03  2,083,385 76,141 57,228 28,700
◎本2009.03予 1,760,000 0 -107,000 -90,000
◎本2010.03予 1,670,000 -10,000 -35,000 -35,000
◎中2008.09  1,042,873 23,965 8,675 32,648
◎中2009.09予 820,000 -15,000 -28,000 -28,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03  4.7 0 
◎本2009.03予 -48.5 0 
◎本2010.03予 -18.9 0 
◎中2008.09  5.3 0 
◎中2009.09予 -15.1 0 

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