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物流危機でも「モーダルシフト」が進まない真因 中距離拡大に立ちはだかるJR旅客との相克

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鉄道貨物の拡大へ意欲的な中期計画を掲げたJR貨物。計画策定の裏には、関係機関との激しい攻防もあった。

山間を切りさいて走る貨物列車。物流2024年問題の受け皿として期待されている(写真:レールアート)

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人手不足とあいまって4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間に制限され、運べない荷物が出てくる「2024年問題」が本番を迎えた。そこで期待されるのが1人の運転士で10トントラック65台分の荷物を運ぶことができる鉄道輸送だ。CO2排出量もトラックの11分の1。だが、JR貨物の足元の輸送量は低調で、鉄道へのモーダルシフトが進まない。なぜなのか。4回にわたって貨物鉄道の現場を探る。

「4月に入ってからも力強い輸送量の伸びはない」

JR貨物の犬飼新社長は話す。トラック運転手の労働時間規制強化では1日の拘束時間も「上限 15 時間、14 時間超は週2回までが目安」などとなり、1人の運転手で600㎞以上の輸送も難しくなる。もともと800㎞以上の長距離輸送ではコスト優位性も発揮する鉄道輸送だが、2024年問題を受け中距離帯の需要も一気に取り込んでいくはずだった。

ところが、2023年度は国内で値上げが相次ぎ個人消費は低迷。中国経済の停滞もあいまって荷動き全体が悪化した。ただ、鉄道へのモーダルシフトが進まない原因は、荷動きが鈍いからだけではない。

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