「日本のハンバーグ」外国人が夢中になる納得の訳 白米と食べる「立派な和食」になった経緯

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和牛、国産牛を粗めに挽き(挽肉は劣化しやすいので、当日挽きたて!)、より肉の味を前面に出し、炭火で炙り、熱々のご飯と共に食べる「和定食ハンバーグ」。薬味やタレも何種類もあり、それぞれの味わいが選べる。焼き加減も自分好み。価格も1000〜2000円で十分足りるお手頃価格なハンバーグは、若い世代、海外のツーリストなどに今、支持され、新しいハンバーグの食べ方として定着しているようです。

外国人にも認められる「和食」になった

ほんの10年ほど前は、外国人にとってパンを挟んで食べるハンバーガーが正解で、肉だけ食べるハンバーグは、「ありえない存在」でした。また、海外では挽肉はどんな肉のどこの部位が使われているかわからないため肉としての価値が低く、ハンバーグだけを食べることはなかったのです。

しかし、日本で作られたハンバーグは、独自のレシピ、日本の牛肉を使うことで、海外の人たちの常識を破り、ステーキとはまた違う、日本的な食のスタイルとして認められたのです。やはり日本の食に対する安心感、信頼感は高いのです。

ちょっと前まではハンバーグといえば、肉汁溢れるものが主流で、こだわって作られた店のオリジナルのソースで楽しむものでしたが、今話題のハンバーグは、肉汁よりも肉肉しさ、肉本来のおいしさを味わう傾向に移行。ハンバーグのための肉を厳選し、それぞれのお店の味にこだわり、焼肉のように自分で焼くスタイルが定着しています。

白米の上にハンバーグを乗せ、さらに生卵(または半熟卵)をオンして、丼のようにして食べるもよし、一口ずつ焼きながら香ばしさを楽しんだり、好きな味付けで食べることもできる。店が提案する完成されたハンバーグではなく、自分好みにカスタマイズできる、まさに食べる人の多様性に応える業態となっているのです。

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千葉 祐士 門崎熟成肉 格之進 代表

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ちば ますお / Masuo Chiba

1971年、岩手県一関市生まれ。1994年東北学院大学経済学部商学科卒業。1994年大倉工業入社、1999年より外食事業を展開し、五代格之進を開業。2004年丑舎格之進 川崎本店、2006年格之進TOKYO(練馬区桜台)開業。2008年10月に株式会社門崎を設立し、2010年格之進R(六本木)開業。2013年ミートレストラン格之進(一関)、焼肉のろし(岩手県陸前高田)、2014年肉屋格之進F(六本木アークヒルズサウスタワー)開業。2015年11月格之進Rt(代々木八幡)をオープン。現在は「門崎熟成肉」の牛肉販売、卸・食品加工、店舗運営、飲食店運営サポート事業、牛肉の啓蒙活動を行う。
 

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