日経平均の当面のヤマ場がもうすぐやって来る 上昇か下落か、当局の為替介入はいつあるのか

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しかし、その後の景気指標が強めに出ているため、そのシナリオは揺れている。特に先週水曜日にでた3月のCPIは前年同月比+3.5%と、予想の+3.4%や2月の+3.2%を上回った。さらにコア指数も前月比・前年同月比とも、低下予想に反し2月と同水準だった。

ここで6月の利下げ観測は後退し、この日の10年債利回りは4.5%台半ばに、1ドル=153円までドル高が進み、NYダウは422ドル安、ナスダックも136ポイント安と売られた。

当然のことだが、ソフトランディングに成功したと言われるアメリカ経済が、本物であればあるほど物価指数は下がりにくい。先週末のサンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁やカンザスシティー連銀のジェフリー・シュミッド総裁の発言にあるように、FRBは現時点で利下げを急ぐ必要はないということになり、NYダウは475ドル安(一時580ドル安)、ナスダックも267ポイント安と、米国株は波乱含みになっている。

今の日本株安はインフレ相場以降への「一時的な痛み」

日経平均株価も、4月に入ってからここまでの高安合計は845円安となっており、直近の先物は3万9000円を割れている。強気筋にも若干の動揺が見られるが、相場の本質が変わったとは思えない。

ここでの調整はデフレ脱却相場からインフレ相場に移行する時の成長痛であり、波乱はその薬になるとの筆者の相場観も全く変わっていない。「この大相場、下がったら買えばいいだけ」との考えも変わらない。買う資金が残っていない投資家は、十分に買ったということであり、決して悪いことではない。

一方、この間岸田文雄首相は、8日から国賓としてアメリカを公式訪問し、日米首脳会談だけでなく、上下両院合同会議で日本の首相として安倍晋三氏以来9年ぶり2人目となる演説を行い、14日に帰国した。

この間のドル円相場は、CPI(消費者物価指数)の予想以上の強さによる利下げ先送りという材料も手伝って、34年ぶりの予想以上に円安が進んだ。

市場はこれまで、為替介入ラインは1ドル=152円にあるとみてきたが、結局153円になっても日本の介入はなかった。「首相が国賓での訪米期間中に為替介入はない」というのがもっぱらの噂だったが、この噂に真実味があるとしたら、帰国後介入(つまり15日から)の可能性が高い。トヨタ自動車の株価が先週末、円安の中でも伸び悩んだのは、このあたりを警戒したのかもしれない。

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