「靴がダサい」ビジネスマンに欠けた意外な視点 「とりあえず黒い革靴ならばOK」という誤解

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スーツにネクタイを締めていた時代にはなかった「足元の盲点」については、ご存じでしょうか。それは「とりあえず黒い革靴ならばOK」という誤解です。ビジネスファッションの多様化によって、ピカピカに磨き上げた「黒い革靴」が悪目立ちしてしまうケースも出てきました。

たとえば「光沢がないチノパン」や「ウォッシャブルの化学繊維スラックス」では、ピカピカの黒革靴が浮いてしまいます。手入れが行き届いた黒革靴は、本来ホメられるもの。にもかかわらず「カジュアルパンツにたいして、靴のドレス感が強調されてしまう」のです。これがアンバランスに見えてしまうのです。

ドレス感ある黒い革靴は、「微光沢ある天然繊維のウールスラックス」に馴染みます。一方、ツヤのないチノパンやテカテカの化学繊維では、フォーマル過ぎない革靴を選びましょう。その基準は「革底ではなく、ゴム底の革靴」という判別が簡単です。

パンツの生地次第では、ピカピカの高級感ある革靴が正解とは限らず、むしろ大事なポイントは、「靴単体ではなく、靴とスラックスのバランスを見ること」だったのです。スーツにネクタイだらけの時代にはなかった視点と言えます。

靴を「主役ではなく、名脇役」と捉える

冒頭で紹介した「足元を見る」という言葉からも、靴の重要性については、誰もが認めるところ。だからこそ主役として捉えがちですが、これは大きな誤解です。足元のコーディネートが上手な方は、靴を主役ではなく「全身を整える名脇役」として捉えています。

だからこそ金具がついたローファーは、余程の理由がない限り、おすすめしません。モンクストラップと呼ばれるバックルが付いた革靴とは別物、いわゆるローファーです。もちろん「着脱で手間取らない」というメリットもありますが、そもそも紐のないローファーの語源が「怠け者」を意味する言葉であることは有名な逸話です。

勘のいい人は、他人の足元を通じて、「考え方やパーソナリティー」をキャッチしてしまうからこそ、足元の存在感を程よく弱める名脇役なコーディネートを意識してみてください。

森井 良行 ビジネスマンのためのスタイリスト

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もりい よしゆき / Yoshiyuki Morii

その違和感を、言葉で可視化する。著書『38歳からのビジネスコーデ図鑑』(日本実業出版社)など5冊。MENSA会員。

公式サイト「エレカジ」(https://www.elegant-casual.com/cases)では、80件を超えるコーディネート事例を公開。

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