視聴率急落で「死の谷」にはまったテレビ局の苦悩 激減するテレビCM収入を配信で補う日は来るか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
拡大
縮小

テレビ視聴率には、世帯単位の視聴率である「世帯視聴率」と、個人単位の視聴率である「個人視聴率」の2つがある。さらに時間帯ごとの区分として、全日(6~24時)、ゴールデン(19~22時)、プライム(19~23時)という3つの指標があり、これらいずれの時間帯でもトップをとれれば「3冠」達成となる。

テレビ朝日は昨年3月に発表した中期経営計画で、2025年度までに年間・年度での個人全体視聴率で3冠をとることを目標に掲げている。2023年の年間視聴率は開局以来初の世帯3冠、個人全体2冠を獲得。長年王者であった日本テレビは首位陥落となり、今やテレビ朝日が“視聴率王”に躍り出ている。

2023年の年間高視聴率番組ランキング

「相棒」や「科捜研の女」など、定番シリーズ番組を複数抱えるテレビ朝日。テレビ視聴率を調査するビデオリサーチが公表した、2023年の年間高視聴率ランキング(関東地区)の上位に同社の番組が多数入っている状況からしても、“視聴率王”の座に違和感はない。

しかし、あるキー局の社員は「テレ朝の視聴率が高いのは高齢者の視聴割合が高いから。在宅時間の長い高齢者はテレビの視聴時間も長い」と指摘する。

現役世代に強い日テレの底力

ビデオリサーチが2020年3月から開始した新視聴率調査によって、今では視聴者の人数だけでなく、性別や年齢層も詳細に把握できるようになった。

そうした中、長らく視聴率王であった日本テレビは今年4月の番組改編から、13~49歳の男女の視聴率を「コアターゲット」視聴率として重視する戦略(コアMAX戦略)を明確に打ち出している。

日本テレビの公表資料によると、個人全体(全日)の視聴率ではテレビ朝日が1位、日本テレビは2位だが、コアターゲット視聴率では日本テレビが3冠で、テレビ朝日はいずれの時間帯でも4位(2023年実績)。コアターゲットの全日視聴率では両社で倍以上の差がついており、テレビ朝日の視聴者層が高齢者に偏っていることが読み取れる。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT