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野心を隠さない中国、当面の焦点は南シナ海に 原潜が航行する「南シナ海」こそ最重要の海域

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広大な領土を持っていながら領土的野心を隠さないのはなぜか。

バイデン大統領と習近平国家主席
昨年11月にサンフランシスコで会談した米中首脳(写真:Doug mills/The New York Times)

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戦後、最も厳しく複雑な安全保障環境に直面──。

政府高官の発言や防衛白書、外交青書で頻繁に用いられるようになったこの言葉の背景に、中国の急速かつ広範な軍事力強化があるのは疑いようがない。

中国は悲願である台湾統一(併合)を目指すほか、領有権を主張する南シナ海の島々や尖閣諸島で「力」を背景とした一方的な現状変更への動きを続けている。日本など周辺国は現状維持を確固たるものとするための動きを活発化させている。

すでに広大な領土を持っていながら、なぜ中国は領土的野心を隠さず、周辺国に威圧的な行為を繰り返すのか。それは中国にとって自国を守ることの一環だからだ。

米中をめぐる2つの線

九州沖を起点に、沖縄などの南西諸島、台湾、フィリピン、ボルネオ島に沿って延びる1本の線。中国が設定したとされる第1列島線と呼ばれる防衛ラインだ。

中国の沿岸には上海や広州など主要な都市が数多く存在する。一方で、中国から太平洋を見渡すと、日本や台湾、フィリピンなど米国の同盟国などが連なる。中国にしてみれば、重要な都市が他国からの脅威に直接さらされているような感覚だ。第1列島線は海洋からの侵入に対する重要な防御ラインと位置づけられている。

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