ふかわりょうが"サイテー男"の小説に込めた思い 「B面があるからA面がある」その言葉の真意は
10年前には書けなかった物語
世の中のモテている男は、なぜかサイテー男ばかり。
誰からも「いいひと」と言われる四十路の主人公・平田が、結婚をするために「いいひと」を辞め、サイテー男になることを目指して、「サイテー男養成所(通称、クズ専)」に通うーー。
そんなふかわりょうさんの書き下ろし小説『いいひと、辞めました』では、ひとクセもふたクセもある人たちが、この令和の時代にちょっと人前で口にするのは憚(はばか)られるようなセリフを吐き、行動をする。
しかし、不思議と、そこに嫌悪感はあまりない。
それは登場人物たちの憎めないキャラクターによるところもあるが、ふかわさんが描き出した世界観が、“今の時代に読むべきもの”として目の前に広がっているからだろう。
「無自覚に、時代の風って浴びていると思うんです。それに自分の思想や価値観、おもしろがっていることって、時代との交差点のような場所にあると思うんですよね。
自分の頭の中に散らばっているものや言葉が、時代の風向き、時代の風によって作られた渦に乗って集まり、その交差点でできたのが今回の作品。そういう意味では、10年前にはこういう作品は作らなかったと思う」
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