「札幌ドーム」と「日ハム新球場」の残酷な明暗 ネーミングライツの応募もなく苦戦が続く

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日本のプロ野球は、1954年の「職業野球団に対して支出した広告宣伝費等の取扱について」という国税庁通達によって、プロ野球チームが出した赤字を親会社が補填した場合は「広告宣伝費」扱いとなって税制的に優遇されていた。しかし、それでも人気のないパ・リーグチームの経営は厳しかった。

おりしもこの2004年に起こった「球界再編」騒動は、赤字に苦しむ近鉄がオリックスと合併するなどして、2リーグ12球団を1リーグ10球団にするという経営側の意向に端を発している。プロ野球選手会のストライキなどで、経営者の意図は挫かれ、楽天の新規参入もあって、2リーグ12球団は維持された。

指定管理者制度を最初に活用したマリーンズ

しかしこの時期から特にパ・リーグで経営改革が次々と行われるようになる。リピーターを増やすためのファンクラブの改革や、ネットでのチケット販売、応援団の再編などもそうだが、最大のものが球団の「指定管理者」への移行だった。

2003年、小泉純一郎内閣の「骨太の改革」の一環として「指定管理者制度」が導入された。従来は公施設の管理業務は、地方公共団体が出資する法人や公共的団体、第3セクターなどに限定されていたが、小泉改革によって、株式会社などの営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど「法人その他の団体」に包括的に代行させることができるようになった。

プロ野球でこの指定管理者制度を最初に活用したのが千葉ロッテマリーンズだった。本拠地の「千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)」は、当初第3セクターが指定管理者になり、マリーンズは球場使用料を支払っていたが、2006年に球団が指定管理者になった。

「指定管理者」は、一般的には地方公共団体から指定管理者が委託料を受け取って管理、運営を任されるが、マリーンズの場合、球場の使用権だけでなく施設維持管理・受付・貸出業務・公演なども含めた契約になっている。マリーンズは試合興行のほか、球場内での飲食、物販、広告看板の販売など包括的なビジネスができるようになり、経営状況は大幅に改善された。

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