この傾向は、20〜24歳の賃金水準(≒新卒年収)を「1」として指数化するとわかりやすい。
賃金カーブはほぼ一貫してフラット化してきたことから、すべての年代で生涯年収は初任給を基準とすると下振れとなるが、やはり40代の下振れ傾向が目立つ。
例えば、43歳では、20歳の時の期待生涯賃金は64.4だったが、現時点の実現賃金と期待賃金の合計は57.0となり、下振れ率は11.5%である。
言い換えると、20歳の時は「生涯で新卒年収の64.4倍程度はもらえる」と思っていたが、現時点(43歳になってみると)「57.0倍程度にとどまりそうだ」という状況である。
賃金と株価、氷河期世代はダブルでダメージ
重要なのは、「新卒年収」で換算しなくても、名目金額ベースで40〜49歳は「20歳の時の期待生涯賃金」に現時点の期待値がとどいていないことである。
奇しくも、この世代は株価低迷を長く経験してきた世代であることは、以前のコラムでも分析した通りである(『株高の追い風で「明るい世代」は"多数派"になるか』)。株価と実体経済の連動性を考えると当然なのだが、金融所得と労働所得の双方が格差を拡大させている。
社会では中堅からベテランに差し掛かっている氷河期世代のマインド底上げは、明るい世代が自然と増えるタイミングを待つよりも即効性があるだろう。賃上げ率だけでなく、「賃金カーブ」のフラット化がはらむ問題にも対処が必要なように思われる。
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